2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520259
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
久野 眞 高知大学, 教育学部, 教授 (20178023)
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Keywords | 波照間方言 / 中舌母音 / 無声化 / ラ行音 / アクセント / 活用 / 助詞の融合 |
Research Abstract |
平成15年度は八重山方言の中から波照間島方言を選んだ。研究協力者3名を得て、臨地調査を10月29日から11月4日にかけて行った。音韻・アクセント・動詞の活用などについて従来の報告にある項目を中心に調査した。 音韻については、半広中舌母音と半広舌母音の区別が曖昧になっている状態が認められ、また半広母音と狭中舌母音との区別が曖昧になっていることも観察された。また、名詞と助詞の「は」格の助詞との融合が少なくなっていることが分かった。 さらに、Cwaという音環境の音声がCoaに変化しつつある傾向が認められた。また、従来無声子音で始まる拍に有声子音で始まる拍が後接するときに、有声子音が無声化するという報告があったが、無声化の傾向がやや弱まっていることが観察された。 高年層の話者5名を対象に音韻・活用を中心として波照間方言の特色を録音・録画した。 この結果をもとに12月13日にフェリス女学院大学で行われた日本音声学会の研究例会において「先島方言の音韻変化」という題目で研究発表を行った。 12月24日から28日にかけて再調査を行い、最高齢の女性の話者3名の録音・録画も行った。92歳の話者はrの発音が舌先震え音になる傾向があったが、この発音は他の話者では観察されなかったので、波照間島方言ではすでに衰微しているものと思われる。
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