2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520268
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
大野 仁美 麗澤大学, 外国語学部, 助教授 (70245273)
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Keywords | コイサン / 親族名称 / 歴史 |
Research Abstract |
1.昨年から進めているKhwe(Kxoe)語テキストと辞書から親族名称およびそれに関連があると考えられる項目を抜き出しグイ語を中心とするその他中部コイサンとの比較対象を行った。これらの資料に加え比較的古い資料(Bleek(1956)の"A Bushman Dictionary")に記載されている資料および今まで研究代表者が現地で収集してきた資料を統合し相互に比較考察した。それをもとに、コイサン諸語の親族名称体系の共通体系を設定し、それにどのような変化が起こるかによってそれぞれの体系へと展開していくかについて考察を進めた。体系の相違をはかる要素として、従来から用いられている項目のほかにさらにオジオバ分裂型・婚姻規則・相対的なキョウダイ順序の決定法などを有しているかどうかを立てることにより従来同一体系を共有していると考えられていた中部コイサンがさらに分化していることを示すことが可能になった。これらは科研費報告書としてまとめた後論文として公表する予定である。 2.海外研究協力者であるオーストラリアメルボルン大学言語学科エヴァンス教授を訪問し親族名称および親族体系の歴史的先史的比較研究を進めるにあたってレビューを受けた。またすでにかなり研究が進められているオーストラリア原住民語およびオーストロネシア諸語関連の資料について情報の提供を受けた。 3.親族名称分析および親族間でなされる会話分析の基礎となるグイ語スケッチグラマーの記述を引き続きすすめた。特にモダリテイーに関しては昨年に続き口頭発表を国際シンポジウムで行った("Irrealis modality in/Gui." International Symposium on Khoisan linguistics in Riezlern)。これを通じて中部コイサンの文の構成やPGNマーカーについて意見交換や情報交換を行った。この発表内容は論文として公表する予定である。
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