2003 Fiscal Year Annual Research Report
キリシタン文献国字本総合データベースに基づく近世初期日本語用字規範の計量的研究
Project/Area Number |
15520284
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
豊島 正之 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (10180192)
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Keywords | キリシタン文献 / 金属活字印刷 / 組版規範 / 用字規範 / 漢字字体 / 和欧混植 / 古活字版 / 版心 |
Research Abstract |
1)「キリシタン版」原本調査 「朗詠雑筆」、「ぎやどぺかどる」のミュンヘン本など、原本調査が未了であった諸本の調査を行い、版式等を確認した。この結果、「ぎやどぺかどる」の版心に転倒が生じている事を発見し、版心自体も一つの「活字」として組版されていた事を推論し、従来、匡郭・版心を固定した中に金属活字を詰め込む形で行われたものと漠然と推定されていたキリシタン版国字本の組版が、実は版面の要素全てを「活字」として扱う、毎丁組み替えの組版であるとの新しい知見を得た。 又、「ぎやどぺかどる」の組版進行に、二つの相異なる組版規範を持つ担当者があり、和欧混植ついてこの両者に顕著な規範差が見出され、これらが交互に組版を担当している(2台進行)事を確かめた。このような組版規範から推定される複数台進行は「朗詠雑筆」にも見出される。この件に就ては、次年度に更に研究を深め、研究成果を国際学会等で発表する予定である。 2)国際学会での発表 第二回「宣教に伴う言語学」国際会議(The 2nd International Conference on Missionary Linguistics、サン・パウロ大学[ブラジル]、2004年3月10日〜13日)にて、キリシタン版語学書について特に出版の見地から研究発表を行い、参加者と討論・情報交換を行って、知見を深めた。又、この機会を利用して在外語学書の原本調査を行った。 3)「古活字版」電子化画像の作成 対照のために、主として漢字仮名交じりの和文でいくつかの版式の「古活字版」各種の電子化画像を作成した。 4)データベースの試作 過年度の研究成果であるキリシタン文献国字本データベースは既に運用中であるので、それと同一仕様で「古活字版」データベースを試験的に作成した。本格的な運用は次年度を期す。
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Research Products
(1 results)