2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520285
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高山 知明 金沢大学, 文学部, 助教授 (20253247)
|
Keywords | 漢語 / 母音融合 / 音韻変化 / 字音 / 借用語 / 母音連続 / 音韻史 |
Research Abstract |
日本語の語彙内における漢語層と和語層との相対的関係が、音韻現象及び音韻変化とどのように関わり合っているかというのが本研究の眼目である。本年度は具体的に以下の研究を進めた。 まず、母音連続形に関する、複数の字音の組み合わせから成る漢熟語の音型に関する基礎資料の作成作業を行なった。これを通じて、日本語の語彙内における、漢語形の異質性がどのように変化してきたのかについての見通しを得た。来年度にかけて、細部の検討を進めていく。 また、音韻論、音韻の史的研究に関する研究書、論文を通し、関係分野の動向を把握し、それと照らし合わせて本研究課題の細部の点検作業を進めた。近年、音韻論及び音韻史の研究において、借用語(日本語における漢語はその一つ)の問題に対する関心は非常に高く、目が離せない状況にあることが要注意点である。学会の動向も重要で、中国語とその周辺諸言語における漢字音に関するシンポジウムが日本中国語学会で開催され、それを通じて、本課題と関連する研究の進展状況を具体的に知ることができた。また、一般音韻論関連の学会においては、海外の研究者を含む多くの研究者との交流を通じ、本研究を進める上で不可欠な多くの情報を得ることができた。いずれも、必ずしも日本語を主対象とする学会でないが、本研究にとってたいへん有益であった。 字音の規範意識を探るための文献調査を進めた。これまでに集めた資料と、今回実施の調査を併せて、それらの分析を進めた。漢語における母音融合変化に関する具体的諸相がそれほど単純でないことがより明らかになってきた。この点は、来年度にかけてさらに考究する。 音韻現象(その変化)と、漢語(あるいは外来語をも視野に入れた借用語)との相互関係についての考察を行ない、その成果の一部を輪文(英文)一篇にまとめた。これは、現在投稿中である。
|