2005 Fiscal Year Annual Research Report
数量表現の構造的依存関係に関する理論的・実証的研究
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15520302
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
木村 宣美 弘前大学, 人文学部, 教授 (90195371)
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Keywords | RNR構文 / 非移動分析 / 全域適用(ATB) / 線形化(linearization) / 因子化(factorization) / 対称的述語 / 適正束縛条件 / 束縛条件(C) |
Research Abstract |
等位構造の等位項の右側に共通に位置する要素(以降,RNR要素)を,等位接続された節点の右枝に配置する,右枝節点繰上げ(Right Node Raising : RNR)構文の派生過程及びRNR要素の位置に対して,次の2点を組み込んだ分析を提案し,その妥当性を検証した。 A.RNR構文の非移動分析(Kimura 1985,1986)(RNR要素は,繰上げられるのではなく,一番右側の被接続要素内にある。) B.RNR構文のSPELL-OUTの構造は,Williams 1978の全域適用(across-the-board : ATB)formatで生成され,音声形式(PF)部門で線形化(linearization)される。 本研究では,William 1978のATB formatに修正を加え,ATB formatの一つのfactorがunitとしての働きをするという分析を提案した。この修正により,対称的述語がRNR要素として生起するRNR構文を適切に分析することが可能になることが示された。また,Kayne 1994のLinear Correspondence Axiom(LCA)に基づき因子化された構造が線形化されることを論じた。 RNR構文の,移動分析を支持する特性と非移動分析を支持する特性は,ATB formatで生成された構造への規則適用に伴う統語的特性とPFで適用される線形化に伴う音声的特性に明確に峻別できることが示された。 また,RNR構文のRNR要素の非移動分析を仮定することにより,1)島の条件に従わない,2)動詞句削除でRNR要素も含まれる,3)前置詞句からの抜き出しの禁止の効果が見られない,4)適正束縛条件(PBC)違反が生じない,5)束縛条件(C)に従う等のRNR構文の特異性に妥当な説明を与えることができることも示された。
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Research Products
(2 results)