2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520304
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
仁科 弘之 埼玉大学, 教養学部, 教授 (20125777)
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Keywords | 意味情報 / 意味役割 / 回転式 / 行為 / 骨格 / 手話 / モデル / 様相命題 |
Research Abstract |
プロジェクト1年目の本年は、行為動詞の意味構造を外延的に決定する準備を行った。申請者の一貫した目標は、身体動作動詞などの外延的な動詞の意味情報をその指示対象から直接的に抽出すること、さらにはその意味の認知的決定機構をさぐることである。今回のプロジェクトでは、前回の科研研究でえられた様相論理をもちいた関節回転の記述アルゴリズムを手話動作に適用してみた。 (1)手話の統語論を考察した。英・米手話との比較や日本語音声言語の関連構文との対応関係の検討の結果、日本手話の与格動詞においては、その手形の移動経路を逆行させることが受動要素に相当していることがわかった。この経路の逆転は意味役割関係における主題の移動の向きの逆転を表している。これを、線形順序がなくとも独立的な形態素であると捉えるかあるいは並行的な受動文を形成する一特徴と考えるかは別にしても、この事実は部分的には時空間構成的な意味論が手話統語論の出力として仮定可能であることを示している。 (2)手話を構成する手の解剖学特徴を概観してから、動作の論理学的記述を行った。記述対象として手話を採用したのは、それが手の局所的動作でありモデル化が比較的容易にできたためである。米手話の「ask(尋ねる)」の動作を、骨格を略述した構造をもとに、前回プロジェクトでえられたアルゴリズムである「回転式」で記述した。この手話動作の回転式集合をモデルとして見立てて、その様相存在式を評価した。えられた様相式を意味構造に再構成する手順も提案した. 次の過程では、得られた結果の認知的な意味合いをさぐってゆく予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 仁科弘之: "手話の構成性と手話動作の様相論理的記述"佐藤, 堀江, 中村編:『対照言語学の新展開…理論研究と言語記述の接点…』ひつじ書房. (刊行予定). (2004)
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[Publications] Hiroyuki Nishina: "How Humans Identify Actions?---One Proposal for Extracting Semantic Contents from their Spatiotemporal information"Proceedings of the 17^<th> International Congress of Linguists, Matfyzpress, MFFU, Prague. (CD-ROM). (2004)
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[Publications] Hiroyuki Nishina: "Abstracting Semantic Information from Action Tokens m Terms of Rotation Formulae"『松田徳一郎教授追悼論文集』,研究社. 456-468 (2003)