2004 Fiscal Year Annual Research Report
古英語‘Judgement Day Homilies'のテクストと言語の研究-Vercelli版の系譜を中心に
Project/Area Number |
15520307
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
小川 浩 昭和女子大学, 文学研究科, 教授 (90029736)
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Keywords | 古英語 / 説教散文 / Judgement Day / テクスト校訂 / 写本 / 統語法 / 文体 |
Research Abstract |
本研究は、後期古英語の'Judgement Day homilies'のうち、とくにVercelli版の系譜に属する作品群(Vercelli Homily IIと後にそれに改変を加えて発展させたVercelli XXI, Fadda X, Napier XLなど)のテキストと言語についての比較研究である。「最後の審判の日」は古英語説教散文の中心的なテーマであり、AElfric, Wulfstanなどの個別の作品については、とくにsource studiesの観点から既に多くの研究があるが、散文史の上で最も重要な「説教散文の伝統」もしくは「系譜」の観点から、関連作品群の内容の変容と言語・文体の変化を扱った研究は、今日でも依然としてほとんど行われていない。したがって当該の一連の説教作品のテクストと言語についての徹底した包括的な研究がいま求められている。 課題研究の初年度にあたる昨年は基盤整備として、まずVercelli Homily IIを改変して利用した後代の作品コーパスを網羅的に調査確定し、それらをVercelli IIの原文と対比したパラレル・テクストのデータベースを作成した。しかしこのパラレル・テクストは既存の刊本に基づいており、これだけでは本研究の目的に充分とは言えない。今年度はこれに加えて、関連作品の原写本に基づく新たなテクストを校訂し、そのコンピュータ可読化に取り組んだ。そしてNapier XL (MS Hatton 114,fols.242r-46v)についてこの作業を完成した。これはこの作品の四つの異版のうち唯一これまで未校訂であった写本で、今回のテキスト完成は世界でも初めてのものであり、今後の研究のためにも意義あるものと考えている。またこのほかの作品についても、原写本のマイクロフィルム版を入手するなど準備を進めており、出来るだけ早期に既存の校訂本の見直しを行い、原写本の句読点などを再現した、より厳密なテクストの確定を行いたいと考えている。
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Research Products
(3 results)