2003 Fiscal Year Annual Research Report
再帰形態素の特質を明らかにし照応理論を再構築する研究
Project/Area Number |
15520308
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
野口 徹 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (20272685)
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Keywords | 照応 / 再帰代名詞 / 束縛理論 / 制御 / 編入 |
Research Abstract |
平成15年度は、本研究の準備段階と位置づけている。まず4月にスウェーデンで開催された国際学会GLOW(=Generative Linguistics in the Old World)において、研究課題の中心的なテーマを基にした研究発表を行った。再帰代名詞には述語的照応形と項照応形との2種類のものが存在し、前者が他の述語を形態的に再帰化するのに対し、後者は統語的に(項として)述語を再帰化するという提案を行い、英語と日本語のデータを中心に検証を行った。参加者からは様々な質問や意見が出され、中には今後の課題として扱うべき問題も含まれている。特に英語・日本語以外の言語のself形態素の分布について、今後の課題として扱うべき問題を発見した。これらの点を考慮した上で、今後の指針とするために発表内容を論文の形にまとめた。 主要設備としてコンピュータ(アップル社PowerMacG5)、プリンタ(キヤノン社LBP-1310)、ディスプレイ(アップル社17インチフラットパネル)を購入し、使用するソフトウェアのインストールを行った。また、研究資料としてself形態素に関する研究書及び関連言語学書を購入した。 再帰代名詞に限らず照応の問題全般に関する文献をリストし、代名詞解釈や削除に関するものを読んで照応全般に関する問題の確認を行った。再帰代名詞に関しては、英語のself形態素について通時的観点から書かれた研究書を読み、問題点を整理した。理論的に問題となるデータも発見されているので、次年度以降の中心的なテーマとしたい。また、英語以外の再帰形態素に関するデータの収集に努め、日本語で書かれた様々な文献(言語学書に限らない)からself形態素が含まれているものを集めて整理した。
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