2005 Fiscal Year Annual Research Report
再帰形態素の特質を明らかにし照応理論を再構築する研究
Project/Area Number |
15520308
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
野口 徹 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (20272685)
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Keywords | 照応 / 再帰代名詞 / 束縛理論 / 制御 / 編入 |
Research Abstract |
平成17年度は、本研究課題実施の3年目に当たり、過去2年にわたる研究内容を詳細に検討し、発展させる段階と位置づけている。具体的には、平成16年度に到達した、再帰形態素の意味的特質を名詞の意味解釈一般に関わる性質から導くことができるという基本的な着想を以下の3つの事例に分けて考察した。 (1)再帰形態素は意味解釈上他の述語と複合述語を形成する。 (2)再帰形態素を含む再帰代名詞全体が統語的連鎖を形成し、意味的には項として機能する。 (3)再帰形態素を含む再帰代名詞全体が選択関数の適用を受け、意味的には一項述語として機能する。 上記の仮定に基づき、再帰代名詞分布を説明する上で従来問題視されていた例外的現象が文法の諸原理との相互作用から導くことができることを示した。この研究成果については、平成17年9月に開拓社より刊行された論文集及び平成17年4月にポルトガルのリスボン大学で開催された照応と束縛に関するワークショップにおいて発表した。その成果は、11月にスタンフォード大学CSLI出版より刊行された会議録に収録されている。上記ワークショップの際は、世界各国から照応と束縛の問題に関心のある研究者が集まり、大変有意義な意見交換を行うことができた。 また、上記の活動と平行して、束縛と削除に関する研究書の書評を執筆し、研究社発行の雑誌『英語青年』(10月号)に発表した。 また、研究資料として再帰形態素に関する研究書及び関連言語学書を購入した。昨年度に引き続き、照応、束縛、削除などに関する文献を読み、照応全般に関する問題の確認と整理を行い、また、より大きな視点で問題を捉えるために、統語論・意味論全般に関する研究書にも目を通した。 上述した仮説を今後さらに実質的なものにするために、英語に限らずできる限り数多くの言語からのデータ収集なども試みながら、詳細な検討を継続していく必要がある。
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Research Products
(3 results)