2004 Fiscal Year Annual Research Report
英語における自動詞の他動詞化に関する大規模コーパスに基づいた生成理論的研究
Project/Area Number |
15520309
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大室 剛志 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (70185388)
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Keywords | 自動詞の他動詞化 / 概念意味論 / 英語の使用実態調査 / 動的文法理論 / 構文文法 / 動作表現構文 / One's Way構文 / 現代英語の大規模コーパス |
Research Abstract |
本年度の研究関連の実績は以下の通りである。 現代英語において自動詞の他動詞化が深く関わっている同族目的語構文、動作表現構文、One's Way構文のうち昨年度は、同族目的語構文を主に取り上げ、英語の周辺構文の解明に特に有効である現代英語の世界最大規模コーパスThe Bank of English(約5億語)とBritish National Corpus(約1億語)更にWebを検索し、理論的考察を加えることにより、同族目的語構文の基本形と数種類の変種を同定した。そこで、本年度は、同じ研究手法を用いて、動作表現構文の基本形とその変種、One's Way構文の基本形と変種を同定すると同時に、これら2つの構文に関する新たな言語事実の発掘を行った。更に、それらの言語事実がそれらの構文の分析にもたらす帰結、言語理論に与える影響について考察した。 上記研究成果を、平成16年度名古屋大学大学院国際開発研究科公開講座「大規模コーパスと英語研究-事実から理論へ,理論から事実へ-」2004年7月31日〜8月3日において担当講師を務めることで学会および社会に貢献することとした。更に、上記の構文の分析には、形態論的な側面の考察が必要になってくる。そこで、形態論の専門家である、並木(茨城大学)島村(津田塾大学)森田(金城学院大学)の3先生を本科研の経費の一部で招き、広く公にも供したいとの意図から、公開シンポジウムとして「形態論シンポジウム」を8月1日に名古屋大学大学院国際開発研究科に於いて行った。上記構文には実際の言語使用の実態も知る必要があることから、学会運営委員として、英語語法文法学会第12回大会も10月23日に名古屋大学大学院国際開発研究科に於いて開催した。 更に、上記研究成果は、英語学が英文法教育にどのように生かされるかにも深く関わることから、日本英語学会第22回大会(2004年11月14日,獨協大学)に於いて、米山三明氏(成蹊大学)、大庭幸男氏(大阪大学)、中村捷氏(東北大学)と筆者で行ったシンポジウム「構文・語彙の意味と構造について-英文法教育に生かす方途を探る-」に於いて、第一発表者として「構文の基本形と変種-文法事項の配列順序への示唆-」という題で口頭発表した。この口頭発表に修正を加えて、本報告書の別項に記載した論文の形で研究成果をまとめた。更に、その一部を2005年6月号の『英語青年』にも発表するように依頼されている。これらの構文には生成文法理論、大規模コーパス、英語の使用実態が深く関わるため、これらを専門にし、The Survey of English Usageの統括者のBas Aarts教授がおられるロンドン大学を訪ね、貴重な研究上の資料を収集した。 最後に、『英語青年』に別の研究者からOne's Way構文に関する論文が投稿され、その論文を『英語青年』側から査読するよう依頼されたので、本科研で扱う構文であり、本科研の研究の一助にもなるので、その依頼に応じて査読した。
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Research Products
(1 results)