2005 Fiscal Year Annual Research Report
英語における自動詞の他動詞化に関する大規模コーパスに基づいた生成理論的研究
Project/Area Number |
15520309
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大室 剛志 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (70185388)
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Keywords | 自動詞の他動詞化 / 動的文法理論 / 概念意味論 / 構文文法 / One's Way構文 / 現代英語の大規模コーパス / 実績の公開 / 成果報告書の作成 |
Research Abstract |
平成17年度は、本科研の最終年度であるため、できうる限り、研究成果を公にすることに努めた。幸い、『英語青年』と『英語教育』に昨年度日本英語学会で発表した内容をもう少し、平易な言葉に直して掲載しないかというお誘いをいただいたので、それに応ずることとした。 動的文法理論の立場に立つと、そこでの有標性の扱いが、教材配列の順序の決定に示唆を与えることになる。これにより、現在、英語学と英語教育の間に存在しているある種の乖離を埋めることが可能になる。このことを『英語青年』6月号に論文の形で発表した。更に、この論考の考えを前提にして、本科研で研究して来た同族目的語構文について、単語レベルより大きな構文レベルにも基本形と特殊形が存在することを示し、基本形と特殊形を理解した上で、基本から特殊へ教えていくことの重要性を論じた。これを『英語教育』8月号に論文の形で載せた。続いて、『英語教育』9月号では、One's Way構文を取り上げて、本科研の研究で明らかにされたこの構文内でのメンバーの拡張様式を基に、基本タイプのmakeタイプが、jumpタイプ、belchタイプ、更に意識使用に見られる、この構文イディオムで使用される動詞の豊かさを支えていることを論じ、学習者には、この構文イディオムがもつ言語表現の豊かさも教えることが重要であると示唆した。 更に、上記研究成果を、平成17年度名古屋大学大学院国際開発研究科公開講座「大規模コーパスと英語研究-テキスト処理ツールを使ってコーパスの中身を見る-」2005年7月30日から8月2日において担当講師を務めることで学会および社会に貢献することとした。更に、上記の構文の分析には、非対格の仮説とイディオムの考察が必要になってくる。そこで、公にも供したいとの意図から、高見健一先生による「英語の諸構文と「非対格性の仮説」-Have使役文を中心に-」と秋元実治先生による「複合前置詞とイディオム化」の公開講演会を本科研の共催という形で8月1日に名古屋大学大学院国際開発研究科に於いて行った。 One's Way構文などをきっかけに、最近学会でも構文イディオムに注意が向けられている。その動向を見据えて、更なる研究の進展を期する上で、Jackendoffが触れたyou scared the living daylights out of meという表現を、本科研で用いた大規模コーパスを使って調査した。その調査から、彼の見たてとは異なり、この表現は、前置詞の目的語だけでなく、動詞の部分も、更には目的語名詞句の部分も変項になっている構文イディオムであることが判明した。この研究成果も論文の形で八木克正先生の記念論集『英語語法文法研究の新展開』に載せていただいた。 最後に本科研の成果報告書を冊子として発行した。
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Research Products
(4 results)