2003 Fiscal Year Annual Research Report
音韻論と意味論における文法的操作の統合についての研究
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15520316
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
高橋 幸雄 盛岡大学, 文学部, 教授 (30154876)
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Keywords | 理論言語学 / 音韻論 / 意味論 / ミニマリスト・プログラム / 概念意味論 / 自律分節音韻論 / 韻律音韻論 / 最適性理論 |
Research Abstract |
本研究では、音韻論と意味論での文法的操作の統合についての模索を次の二つの極小主義的立場を追究することで展開されている。一つは方法論的極小主義であり、もう一つは実質的極小主義である(これらについては福井・辻子共訳(2003)『生成文法の企て』(岩波書店)の284頁以降と319頁以降を参照のこと)。現段階において、自然言語の音韻部門と意味部門は併合(merge)と選択(Select)という二つの操作を核に備え、その周辺にディフォルトのシステムが連携しているという一般的仮定の基でそれぞれの領域の諸問題を分析し論考としてまとめた。 音韻論的な課題については主に以下の点について論を展開させた。(1)Daniel Jonesの「family of soundsとしての音素」という考え方は、次の二つの下位システム(i)素性ジオメトリーによって表示された(identity ruleとしての)語彙表示と(ii)(complement ruleとdefault ruleからなる)ディフォルトのシステムとの相互作用として形式化される。(2)自律分節的な音韻操作spreadは少なくとも形式的に構造的なmergeとして捉え直すことが出来る。(3)従来、音韻規則と呼ばれていたものは音韻表示上のmergeとselectに返還される。 意味論的な課題については主に以下の点について論を展開させた。(1)構文の用法に関わる解釈(例えば「目的」や「結果」など)は命題の真偽値の評価の過程として捉えられる。(2)Jackendoff(2002)_Foundations of Language_などにおける一連の概念構造形成規則もまた(identity ruleとしての)語彙表示と(ii)(complementruleとdefault ruleからなる)ディフォルトのシステムとの相互作用として捉え直すことが出来る。これによってX-Bar意味論的な一般化をさらに推し進めることが出来る。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 高橋 幸雄: "On the Methodological Framework of the Semantics of Constructions in Language"Working Papers on the Semantics of Constrictions in Language, (Tokyo, DTP Publishing). 1. v-viii (2004)
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[Publications] 高橋 幸雄: "海外の音韻理論"朝倉日本語講座『音声・音韻』(東京、朝倉書店). 3. 201-224 (2003)
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[Publications] 高橋 幸雄: "A Reanalysis of Similitude in Phonology"A New Century of Phonology and Phonological Theory (Tokyo, Kaitakusha(開拓社). 91-101 (2003)
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[Publications] 高橋 幸雄: "Abstractness of Underlying Representations in Phonology"KLS(関西言語学会). 24. 95-105 (2003)
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[Publications] 高橋 幸雄: "Prolegomena to a Theory of Lexical and Syntactic Knowledge"盛岡大学紀要. 21. 37-50 (2004)
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[Publications] 高橋 幸雄: "Remarks on Truth and Linguistic Meaning"盛岡大学比較文化研究年報. 15. 103-113 (2004)
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[Publications] 高橋 幸雄: "On Select and Merge in i-Phonology"盛岡大学英米文学会会報. 15. 17-40 (2004)
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[Publications] 高橋 幸雄: "極小主義音韻論"青山社. 334 (2004)