2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520324
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
中安 美奈子 志學館大学, 人間関係学部・人間文化学科, 助教授 (80217926)
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Keywords | 初期近代英語 / 法助動詞 / 歴史語用論 / モダリティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、初期近代英語における法助動詞を言語使用者に着目した語用論的な視点から記述・分析することである。法助動詞の歴史的な研究は、言語行為等のミクロなレベルでの研究に留まっており、会話や談話といったマクロなレベルにおける検討は殆ど行われていない。本年度は、マクロなレベルにおける分析の基礎資料となる部分の検討を行った。 まず、「法助動詞」「モダリティ」等の基本概念を、同じく言語使用者の態度と深く関連する「テンス」と関連させながら定義した。次に、歴史語用論の方法論を検討し、法助動詞を語用論的に分析する可能性を探った。 分析にあたっては、コーパスをシェイクスピア劇に絞り、法助動詞SHALL/SHOULD及びWILL/WOULDのデータベースを作成した。統語論的、意味論的、語用論的(杜会言語学的なものをも含む)なファクターを抽出し、統計を組み合わせたバリエーショナリストの方法論に従って分析を行った。これらのファクターについては、歴史語用論の弱点を補うため、ファクター相互の関連性を保ちつつ、語用論的なものとその他のものとを厳密に分類した。 以上の分析から、上記法助動詞の意味と機能の説明を試みた。SHALL/SHOULDは義務/必然性、WILL/WOULDは意志、といった語彙的な意味を残しているが、新しい談話機能を獲得していることが明らかになった。特に、モダリティの弱い事例においては、近称法助動詞SHALL/WILLの場合、発話時を基準として言及する時を設定する時制マーカー、あるいは、遠称法助動詞SHOULD/WOULDの場合、事実から乖離していることを示す仮定マーカーとして機能することが実証された。
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Research Products
(1 results)