2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520326
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
加賀美 常美代 お茶の水女子大学, 留学生センター, 助教授 (40303755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大渕 憲一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70116151)
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Keywords | 異文化間コンフリクト / 教育価値観 / 葛藤解決方略 / 教育価値観尺度 / 短縮版教育価値観尺度 / 包括的教育価値次元 |
Research Abstract |
本研究は、異文化間の教育場面で生じた葛藤の解決方略と、その背景にある教育価値観との関連を明らかにすることである。すでに開発した教育価値観尺度(加賀美・大渕、2002)を用いて、日本人日本語教師、中国人学生、韓国人学生、日本人学生の異文化間比較を行った研究では、単一的価値観を持つ中国人、中間的価値観を持つ韓国人、複合的価値観を持つ日本人というアジアの3か国の教育価値観の3類型が見出された(加賀美、2004)。平成16年度では、中国人学生、韓国人学生、日本人学生を対象に質問紙調査を実施した結果をより多角的に詳細な統計的分析を行った。第1に、45項目から成る教育価値観尺度の利便性を高めるために、31項目から成る短縮版教育価値観尺度を開発した。第2に、これを用いて上位因子分析を行った結果、4つの包括的教育価値次元(自己実現的価値次元、伝統(権威)主義的価値次元、自由主義的価値次元、社会貢献的価値次元)を見出した。第3に、学生集団間における包括的教育価値次元の差異を明らかにするために、教育価値観の包括的価値次元を独立変数に用いて学生集団間の判別分析を行い異文化間比較を試みた。その結果、日本人学生は自己実現的価値、自由主義的価値を重視し、中国人学生は伝統(権威)主義的価値を重視していた。韓国人学生はそれらの中間に位置していた。第4に、4つの包括的教育価値次元が葛藤解決方略にどのように影響するか、葛藤解決方略の選択が学生集団間で異なるか検討するために、階層的重回帰分析を試みた。その結果、教育観価値観と葛藤解決方略の関連において、自己実現的価値を重視する学生は、服従、協調方略を選択し、対決方略を選択しない傾向が見られた。また、伝統(権威)主義的価値を重視する学生は、対決方略を選択することが示唆され、この傾向は韓国人学生に強く見られ、中国人学生に弱く見られた。さらに、日本人学生でこの価値を重視する学生は、対決方略をとらない傾向が示された。
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Research Products
(1 results)