2005 Fiscal Year Annual Research Report
中間言語発達における形式と機能のマッピングに関する研究
Project/Area Number |
15520331
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
稲葉 みどり 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (50273298)
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Keywords | 第一言語習得 / 第二言語習得 / 談話 / 日本語 / 物語文 / 時制 / 中国語 / 談話処理 |
Research Abstract |
1.研究概要 本研究では、日本語学習者による物語文(文字のない絵本を用いた口頭の作話)を取りあげ、学習者がどのように言語形式と機能(物語文の構成に必要な機能)のマッピングをしていくかを研究した。特に、物語文の談話構成(物語展開、時制転換、視点等)、統語構造、語彙選択に焦点を絞り、習得の初期から、母語話者に近いマッピングに至るまでを5つの習得段階に区分し、各段階の特徴を調べた。さらに、その特徴を母語(日本語及び英語)の発達過程と比較し、類似点や相違点、学習者が自分の母語発達の過程で培った言語の概念、認知形態、表現方法等が第二言語のマッピングにどのように関わるかという点から談話処理のメカニズムを考察した。 2.研究成果 本研究は文字のない絵本(Frog, Where Are You? ; Mayer, 1969)を見て同じ物語を語った、次の3種類の言語資料を分析して進めた。1)日本語学習者の中間言語(日本語)による発話資料、2)日本語学習者の母語(英語・中国語)による発話資料、3)日本人による日本語発話資料。 今年度は特に1)物語文の時制の選択とその転換方法、2)日本語初級・中級レベルに見られる文法的誤り、3)中国語母語話者の空間表現と助数詞の過剰使用に関して考察した。その結果、母語の転移と思われる言語運用が随所に見られることが明らかになった。 研究成果の一部は、平成17年7月に開催された日本認知科学会第22回大会(於、京都大学)で発表した。
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