2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520335
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
迫田 久美子 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80284131)
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Keywords | 日本語学習者コーパス / 習得過程 / 自然習得 / 文法習得 / 縦断的研究 / 化石化 / 作動記憶(ワーキングメモリー) / シャドーイング |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年にあたり、「学習者がどう学ぶか」の解明を目標として、日本語学習者のコーパスのデータ化を図り、分析を通してそれぞれの文法項目の観点から習得段階を明らかにした。さらに、その結果を踏まえて具体的な指導法を考えるものである。具体的には、以下の作業を行った。 (1)日本在住の自然環境の学習者(マレー語話者)1名の3年間のデータを文字化したサコダコーパスA版と教室指導環境の学習者(韓国語話者・中国語話者)6名の3年間にわたるサコダコーパスB版にタグを付け、それぞれの文法項目にしたがって分析を行った。 (2)学習者7名の3年間の変化に重点を置き、それぞれの文法項目の習得過程の変化と特徴をまとめた。 (3)具体的な研究対象とした文法項目は、以下の通りである。 (a)自動詞と他動詞(b)否定表現(c)トキ節のテンス(d)授受表現(e)接続表現(カラ)(f)受身(g)引用表現(h)条件表現(i)形容詞(j)終助詞(ネ・ヨネ)(k)「のだ」文(l)推量のモダリティ(m)名詞修飾構造 上記の結果をふまえ、学習者の誤用が残ってしまう現象(「化石化」を意識化させ、習得を促進するための一つの指導法としてシャドーイングの利用を提案した。 今後の課題としては、上記の文法項目を軸として、(1)3年間の習得マップを作成すること、(2)それを踏まえての評価基準を設定すること、(3)指導法としてのシャドーイングの日本語指導における可能性を明らかにすることの三点を挙げ、さらなる研究を行っていく。
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