Research Abstract |
1.共通語としての終助詞の音調を明らかにするため,広島,岡山,香川において,終助詞の音調の聴き取り調査をおこなった。「桃だよ」「やるね」のように,一語句の文に終助詞をつけ,終助詞の部分を,順接あるいは低接の平坦,疑問上昇,アクセント上昇,下降,上昇下降などの音調で発話したものを聞いてもらい,各音声について,「「あれ,何?」と尋ねた相手に教えるとき」「「これは梅ではなくて桃だ」というつもりで言うとき」のように,設定された場面での発話としてふさわしいと思ったら○をつけてもらった。過去に東京でおこなった調査結果と比較したところ,ほとんどの設定において,東京,広島,岡山,香川で共通にほぼ全員が選んでいる音調が認められた。これは,自分が使うかどうかは別にして,少なくとも聞いて理解できるという意味で,終助詞と音調と意味・機能の対応関係が共通語的なものとして存在することを示唆している。そのいっぽうで,低接疑問上昇の音調が,岡山,香川において多く選ばれる傾向があった。これは,岡山や香川では「よ」「ね」が低接であることが深く関係していると予測されるが,さらなる検討が必要である。 以上については,近畿音声言語研究会の月例会(2004.3.6)で報告をおこなった。 2.来年度にむけての準備のための調査としては以下の二つをおこなった。 (1)広島および香川では,複数の場面を設定して「桃」「行く」などの名詞や動詞に自分がふだん使っている文末詞をつけて,与えられた設定で読んでもらう調査をおこなった。 (2)香川大学の留学生(上級日本語学習者)を対象に同じ調査を行い,上記1の調査結果と比較した。
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