2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520366
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
岡部 純子 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (20295570)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROSS Steven 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (20278782)
|
Keywords | gender bias / test / DIF / schemata / subjectivity |
Research Abstract |
本研究は、英語テスト作成者側に存在するジェンダーバイアスの有無を客観的資料を用いて検討し、テスト作成および教材作成における示唆を得ることを目的とするものである。15年度は資料調査とともに英語テストを作成し、高校生による実際のテストパフォーマンスと英語教員によるテストに対するジェンダーバイアスの比較分析を行った。英語テストは、図表等の視覚的資料を基に必要な情報を読み解いてゆくことを主眼とする多肢選択式読解問題で、心理学、職業、スポーツ、交通輸送機関に関する大問4題、合計設問20問であった。これを約800名の生徒を対象に行った。一方、同一テストを37名の高等学校および大学英語教員と60名の教職希望学生に提示し7段階スケールで各設問が男子生徒もしくは女子生徒に有利であるか否かを判断させるバイアス判断調査を行った。その結果を印象的バイアス判断とし、生徒のテスト結果をMantel and Haenszel's Delta, LogReg, SIBtestを用いて分析したDIF結果を統計的バイアス判断として両者を比較検討した。Concordance Analysisによって全ての統計結果のeffect sizeの調整を行った上での統計分析の結果、いくつかの暫定的結論をえることができた。まずバイアスの客観的測定指標としてDIFが有効であることが確認された。特に各設問レベルの男女差をよく識別した。一方、教員による印象的判断においては全体的に男女差を実際以上に大きく判断している傾向があった。しかも個別の設問ではなく大問ごとに男女どちらに有利であるかを判断していた。以上のことから教員やテスト作成者が作問を行う際、個々の設問レベルにおける適切さ(fairness)よりも大問のトピックや全体の印象で決定してしまう危険性が指摘できる。16年度は特にジェンダーバイアスが現れた被験者層のサンプルとして30,40,50代の男性教員を対象にインタビューによる質的調査を行った。これによりより具体的な男女差に関する教員の認識とテスト作成時の判断基準等が明らかになった。
|