2003 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚音声に関わる語彙認知・発達及び統語獲得を視野に入れた応用的研究
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15520369
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 久美子 玉川大学, 文学部, 教授 (60154043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 博文 玉川大学, 文学部, 講師 (80328020)
坂本 清恵 玉川大学, 文学部, 助教授 (50169588)
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Keywords | 単語なじみ度 / ストレスアクセント / ピッチアクセント / 英単語発音長 / 母語干渉 / タキストスコープ |
Research Abstract |
2003年度は、カタカナ語となっている英単語を導入語として用いることが、英語の語彙を獲得する上で果たして効果的であるかを検証した。具体的には、カタカナ語が日本語において頻用されることが、英単語の発音に干渉を与えないのかどうか、カタカナ語のなじみ度が英単語の認知にどのような影響を与えるのかを、アンケート調査およびタキストスコープを用いた計測、CSLによる分析によって次の4点を明らかにした。 1.カタカナ語でなじみの高い語は、必ずしも日本人皆に共通しているわけではない。年齢や生活状況により異なることが考えられる。また、カタカナ語のなじみ度と英語のなじみ度は一致していない。カタカナ語でなじみ度の高い語が、必ずしも英語でなじみ度が高いわけではない。 2.カタカナ語でなじみの高い語を英語で発音すると、母語の干渉が強く働き、英語の発音が正しくできない場合が多い。 3.特に英単語発音時のアクセントについては、ストレスを用いず平板型アクセントを用いる例が見られる。 4.日本語母語話者が英単語を発音した際の発音長は、概して英語母語話者に比べて長くなる傾向にある。ただし、当初の予想に反して、発音長の長さはスペルの長さ(文字数)とは関係が認められない。 以上のように、英語の学習(特に初期)において、カタカナ語になっている英単語を導入することは適切でないことが分かった。今度の課題としては、こうした発音誤りが、どの程度コミュニケーションに支障をきたすのか、逆にいえば、どの程度まで許容されるのかといった問題を調査する必要があると考えられる。さらに、英単語発音時にも見られる平板型アクセントの傾向が、単語のなじみ度だけによるのか、音声構造上の問題との関わりはないかどうかを、調査する必要があると考えられる。
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[Publications] 佐藤久美子, 兼築清恵, 松本博文: "L2英単語習得におけるカタカナ語のなじみ度とその影響"玉川大学学術研究所紀要. 9. 51-58 (2004)
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[Publications] 佐藤久美子, 兼築清恵: "動画を用いたこれからの語学教材のあり方"玉川大学学術研究所紀要. 9. 41-49 (2004)
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[Publications] 佐藤久美子, *松本博文, 朱浩東, 渡邊淳也: "英語自主学習プログラムReading Marathonの効果及び他言語学習への応用可能性について"論叢(玉川大学文学部紀要). 44. 41-80 (2004)
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[Publications] 松本 博文: "正しい「間違った」文"ことばを調べる(玉川大学出版部). (2003)
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[Publications] 兼築 清恵: "呼び方呼ばれ方"ことばを調べる(玉川大学出版部). (2003)
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[Publications] 兼築(坂本)清恵: "名詞アクセントの分析1-3拍までを中心に"池田要 京都・大阪アクセント資料 分析編(アクセント史資料研究会). (2003)
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[Publications] *佐藤久美子, *兼築清恵, *松本博文, 宮田聖子: "ライフウォッチ:話してみよう!身近な日本"朝日出版社. 99 (2003)
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[Publications] 佐藤 久美子: "上手な英語の伸ばし方"ライオン社. 143 (2003)