2003 Fiscal Year Annual Research Report
手話使用者の認知構造を利用した聴覚障害者のための英語教育教材の開発
Project/Area Number |
15520372
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
斉藤 くるみ 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (30225700)
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Keywords | 英語教育 / 手話 / 聴覚障害 / 大学教育 / 自習ソフト / 視覚認知能力 |
Research Abstract |
聴覚障害学生の英語の学習意欲はインターネットやE-メールの発達にともない、確実に高まっている。しかし語学は音を中心とした教育にならざるを得ないために、大学において聴覚障害者に適した英語教育をすることは難かしい。この研究は、手話を学ぶことで開発される視覚認知能力(斎藤2000)を利用して、英語の自習ソフトを作成しようとするものである。 初年度の研究として、さまざまな教育背景を持つ聴覚障害学生を被験者とし、英単語の提示の仕方による認知及び記憶能力を調べた。さらに学生の感想や、教材に対する意見も聞いた。 まず被験者にとって、未修得の英単語とその日本語訳を表示し、その英単語を記憶するのに能率のよい形式を調べた。コンピューターで英単語と日本語を別々に、静止した状態で提示したり、左から右に動かしたり、外から内に動かしたりしたものを作製し、それらをテレビ画面に表示した。その後、それらの単語のうち、どれを記憶できているかをテストした。一部には信号音も入れた。その結果、手話歴の長い学生の場合、単語を放射線状に動かすと記憶しやすいことがわかった。音の信号は、聴力によっては気づく学生もいたが、刺激としての効果は認められないようである。また補聴器をつけている学生にはハウリングをおこして非常に邪魔である場合もあった。しかしかすかに聞こえ、張力訓練を受けている学生の、不明確にしか聞こえなくても発信を聞かせてほしいという意見もあったので、今後声を入れたものも作成するつもりである。またカタカナで発音を入れてほしいという意見もあった。聴覚障害学生にとって、正しい発音を習得する事はほぼ不可能であり(斉藤1991,2000)、まずは読み書き英語に専念するべきであるので、覚えやすいならばカタカナをつけることも、かまわないと思われる。 以上の結果を利用し、次年度は更に文レベルにまで広げて教材をデザインする。
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Research Products
(2 results)