2004 Fiscal Year Annual Research Report
手話使用者の認知構造を利用した聴覚障害者のための英語教育教材の開発
Project/Area Number |
15520372
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
斉藤 くるみ 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (30225700)
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Keywords | 英語教育 / 手話 / 聴覚障害 / 大学教育 / 自習ソフト / 視覚認知能力 |
Research Abstract |
聴覚障害を持つ大学生にとって音声言語である「英語」は最もインテグレーションが難しい科目である(斉藤1991、2000)。しかしインターネットやE-メールの発達にともない、聴覚障害学生の英語の学習意欲は確実に高まっている。この研究では手話を習得することによって開発される視覚認知能力(斉藤2000)を利用して英語の自習ソフトをデザインしようとするものである。 初年度行った実験の結果を基に、まず英単語の自習教材をデザインした。聴覚障害学生の協力を得てどのように提示するのが英単語の記憶にもっとも有利かを調べた。その結果、手話使用期間が長いほど、画面の外側に散らばったり、画面の中心に集まる動きが有利であること、手話使用の長い人ほど短時間、そして一度だけ英単語を見せても記憶できることがわかった。 しかし文レベルになると、このような提示の仕方は不可能であることと、英検の聴覚障害者対応で、テロップを流すようになったことから、文レベルでは右から左に流す提示の仕方が必要と考えた。この提示のしかたで速度を変えて実験し、文法力・読解力を伸ばす教材では、効率のよい速さから始めて、最終的に音声英語の自然な速さと同じ速度で理解可能になるようデザインできることがわかった。 英米で常識となっている字幕つきのテレビニュース等を英語を外国語とする健聴者が理解する際にも視覚的英語能力は助けになる。今後インターネット等も含め、健聴学生にとっても、視覚的英語能力はより重要となると考え、このデザインに音声を重ねることによって、ろう・難聴・健聴すべてのためのバリアフリー教材を作成することが可能と思われ、今後の研究につなげたいと考えている。
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Research Products
(3 results)