2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本語を母語とする英語学習者による発音練習の効果に関する実験音声学的研究
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15520384
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology, JAPAN |
Principal Investigator |
長井 克己 津山工業高等専門学校, 一般科目, 助教授 (20332059)
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Keywords | 英語教育 / 発音練習 / タイミング |
Research Abstract |
本研究では日本語を母語とする英語学習者の発音練習の性質を実験により定量的に調査した. まず,語学学習場面で行われる様々な発音練習の形式について記述的に整理し,それぞれの特徴を明確に記述した上で予備実験を行った.教育場面への応用のためには発音学習がどの程度必要とされているかを把握する必要があるが,その把握のための新しい手法としてコンジョイント分析を応用した.コンジョイント分析はマーケット調査の分野で急速に普及が進んでいる重回帰を利用したニーズ分析の一手法であり,「全て需要が高い」と結論すると結果として全体の情報量が減ってしまうような場合でも利用可能と考えられる.本研究では学習者と教授者の両方を被験者としてこの手法を応用し,学習者は「聞き」「話す」音声言語重視,教師は「読み」「聞く」インプット重視の判断をしている,ということを明らかにすることに成功した. 次に,L/Rやth等に代表される日本語母語話者にとって難しい無意味語,有意味語,及び強弱パタンを持つ英文を用いた発音練習を(1)教師のモデル発音の後に学習者が発話する形式,(2)教師のモデル発音の後に学習者が発話し,その際に教師も同時に発話する(2回目に教師と学習者の声が重なる形式),により行い録音した.それを更に編集してイギリス英語を母語とする語学教師に提示し,自然性の判断を依頼した.結果は語単位では大きな差はなかったが,英文での練習では教師が声を重ねる形式では母語話者の評価の低くなってしまうことを確認した. さらに,発音練習場面で生起するタイミングの制御に関して,時間順序誤差(Time Order Error)の影響を調べる実験を行った。コンピュータ上でフォルマント周波数を操作して合成した単音節無意味語を試験語とし,学習者の母語である日本語の促音知覚の変化を利用して刺激提示のタイミングがその知覚に影響を与えることを定量的に検証した.また,刺激音の基本周波数の操作によりピッチの上下をつけた刺激語でも同様の実験を行い,周波数の変化が学習者の安定した知覚を阻害している可能性があることが示唆された.
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Research Products
(3 results)