2004 Fiscal Year Annual Research Report
16世紀イエズス会インド管区の経済構造に関する研究
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15520387
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Research Institution | Tomakomai Komazawa University |
Principal Investigator |
高橋 裕史 苫小牧駒澤大学, 国際文化学部, 助教授 (30305966)
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Keywords | イエズス会 / ポルトガル / インド / キリスト教 / カトリック / キリスト教経済 / ヴァリニャーノ |
Research Abstract |
平成16年度においては、イエズス会インド管区内の個別布教地のうち、特にインド大陸の経済構造を、前年度同様、当時のイエズス会各種史料(資産目録、インド管区協議会議事録、宣教師の個別書簡、ヴァリニャーノの巡察報告書)を手がかりに研究し、以下の諸点を確認した。 1.基本的な財源は、ポルトガル人等からの喜捨、ポルトガル国王給付金、インド大陸内の各種不動産、貿易収入などによって構成されていた。 2.ポルトガル人からの喜捨は、その性格上、大口のものではなく、イエズス会全体の経費を賄うに足るほど巨額なものではなかった。 3.ポルトガル国王は、年度給付金でイエズス会を援助し、これ以外の形式では、マラッカの関税の1部や、インド国内の土地を付与していた。国王給付金はその支払い状態が悪く、また実際に支払われる額も名目額よりも少なく、大口の財源ではあったが有力な資金源とは言い難い面もあった。 4.インド大陸内の不動産は士地が主で、その士地から上がる米の年貢や椰子林などの売却益を収入に充てていた。また家屋を賃貸し、そこからの家賃収入も貴重な財源となっていた。 5.貿易収入ではマカオ=長崎間の生糸貿易が非常に大きな財源で、これ以外の貿易では、マカオ=インド間の貿易が重要、生糸以外に絹織物・綿織物・金・麝香・竜涎香・陶器・砂糖・薬品もあった。 6.財政の一般状況は悪く、慢性的に資金不足であった。財政難を打開するために、日本イエズス会は利益率の大きい貿易活動に拍車をかけ、内外から批判を浴びることとなった。 なお平成16年度の研究成果を、北海道基督教学会(日本基督教学会北海道支部)「第43回学術大会」において「イエズス会インド管区の基礎的経済構造」と題して口頭発表した。またヴァリニャーノの巡察報告書全文を『東インド巡察記』という書名で、高橋の訳・注により、平凡社の東洋文庫第734巻として刊行した。
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Research Products
(1 results)