2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520389
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡本 公一 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (60288024)
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Keywords | 日本近代史 / 植民地統治 / 台湾 / 朝鮮 / フィリピン / アメリカ / コロニアリズム |
Research Abstract |
近年ポスト・コロニアルの視角とともに、アメリカの対テロ戦争という現代的脈絡で、フィリピン植民地化過程の征服戦争が俎上にのせられることが多くなった。(アメリカ歴史学会年次大会での報告など)そのような動向への目配せを行うためにも、幅広い文献の収集を今年は行った。 しかしながら、アメリカのフィリピン植民地統治の実証的研究が遅れているため、公文書館、議会資料は未だ研究には不可欠となっている。そこで、本年度は、昨年収集した資料に加え、2004年8月6日から8月24日までアメリカ、ワシントンD.C.に出張し、昨年見出すことの出来なかったフィリピン総督府の制度に関する史料の探索、収集を行った。その結果、まず国立公文書館にて、1901年に民政移管が行われ、総督府が創設された直後の職員録を見出した。 その後、議会図書館法律図書室において、目録には掲載されていないものの、職員録がマイクロフィルムにて所蔵されているのを確認した。ここには、1902年から、刊行されなかった1906年分をのぞき、1909年分まで収録されており、マイクロフィルム・スキャナーを用い、pdfファイルの形で複製を行った。また国立公文書館図書室において、こちらも目録上にはあらわれないもの、1910年以降分に関しては、1928年まで、欠号はあるものの、職員録が所蔵されていることを発見。複写、収集を行った。 以上の資料は、今までフィリピン総督府の制度的研究が実証的になされてこなかったため、これら収集資料の分析を行うことで、初めてアメリカ植民地統治の骨格が浮き彫りにされる。しかしながらこの分析には、構造的分析(部局の構成など)に加えて、統計的分析(職員の人数、出身地、階層など)が不可欠であり、この分析に本年度後半期は集中して行った。膨大な資料のため、未だ端緒を開いただけの感が強いが、今夏を目指してまとめているところである。
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