2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520402
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 路人 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40144414)
|
Keywords | 享保改革 / 裁判管轄 / 大坂町奉行 / 京都町奉行 / 地方についての公事・訴訟 / 触伝達権 / 郡触 / 触留帳 |
Research Abstract |
平成17年度は、享保改革期の上方地域における裁判管轄区域の変更、および大坂町奉行の触伝達権について検討した。 享保7年(1722)まで、上方八ヵ国の地方(じかた)についての公事・訴訟の裁判権は、京都町奉行が掌握していたが、この年、八ヵ国のうち摂津・河内・和泉・播磨四ヵ国については大坂町奉行が担当することとなり、京都町奉行は山城・大和・近江・丹波四ヵ国のみを担当することになった。いわゆる享保の国分けである。これについては、「地方についての公事・訴訟」を、水論・山論・境論などのいわゆる論所とする見解と、町方に対する地方という意味における地方にかかわる公事・訴訟と理解する見解があり、決着を見ていない。しかし、摂津国の村々の地方文書を検討した結果、これはやはり論所と理解すべきであることが明らかになった。 いっぽう、大坂町奉行の触伝達権については、同奉行は、享保7年から、それまでの摂津・河内だけでなく、和泉・播磨にも「郡触」を伝達するようになる。この事実については、従来も知られているが、そもそも大坂町奉行がいつから「郡触」を伝達するようになったのかについては未解明であった。今年度は、寛永期の北河内農村の触留帳の分析から、寛永後期には「郡触」が伝達されていたことを明らかにし、大坂町奉行の触伝達権を考える手掛かりを得ることができた。
|
Research Products
(1 results)