2005 Fiscal Year Annual Research Report
水沼製糸所経営史の研究-群馬県勢多郡黒保根村水沼・星野家文書を中心に-
Project/Area Number |
15520407
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
富澤 一弘 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (90265455)
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Keywords | 星野長太郎 / 星野元治 / 水沼製糸所 / 生糸直輸出 / 横浜同伸会社 / 横浜生糸合名会社 / 上毛繭糸改良会社 / 新井領一郎 |
Research Abstract |
明治初年以来、中期に至るわが国の生糸直輸出の歴史の中で、群馬県桐生市黒保根町水沼(平成17年6月、合併により勢多郡黒保根村から桐生市となる)水沼製糸所の果たした役割はきわめて重要であり、蚕糸業史、貿易史の学史に残るものであった。それ故、生糸直輸出研究の視座から、同製糸所の草創-発展期に着目する研究は少なくなかった。尤も明治7年-昭和17年に至る全操業期を通じた研究は存在せず、明治35年、組合製糸加盟後の経営については未解明である。そこで私は明治初期-昭和前期に至る同製糸所の第一次史料を蒐集・検討、以て70年近くにも及ぶ水沼製糸所の全経営史を解明したいと考えて、本研究を継続してきた。 平成17年度は、15、16年度同様、桐生市黒保根町水沼・星野家文書(杉崎静代氏保管)の中から、明治後期-大正前期を中心に、水沼製糸所関連の経営関連史料を抽出、複写を行っていった。社長・星野長太郎、元治父子が残した同文書は、一部を除き、整理未了であり、万余の未整理文書を擁している。その中には、経営帳簿や工場日誌、さらに商用書翰、刊本、その他公私にわたる厖大な史料が含まれている。これら史料を抽出、整理しつつ、精力的に複写作業を継続していった。 また当年度は、定例の京浜地方の史料所蔵機関への調査とは別に、星野家関係者が明治期、技術指導者として蚕糸業行政に関与した北海道、宮城県、愛知県、岐阜県の事例に着目、関連史料発掘のため、それぞれ現地調査を行っている。 本年度は上記のように、史料集積に専念した一年であったが、来る平成18年度は研究期間の最終年度にあたっている。それ故、蒐集の実を一層挙げていくとともに、論文執筆にも傾注していきたい。
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