2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520413
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
紙屋 敦之 早稲田大学, 文学部, 教授 (00194978)
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Keywords | 華夷変態 / 唐船 / 唐船風説書 / 明清交替 / 鄭氏 / 日本乞師 / 預ケ銀 |
Research Abstract |
本研究の課題は唐船風説書(約2300通)のデータベース化である。本年度は唐船風説書の中からデータ化すべき情報の抽出を行い、以下の項目(括弧内)を選定することにした。すなわち、(1)唐船に関する情報(船名、過去の渡航履歴)、(2)唐船の運営に関する情報(本船頭、脇船頭、乗組数、客商)、(3)唐船の運航に関する情報(出航地、寄航地、長崎入港および年月日)、(4)他の唐船に関する情報(類船、先船、跡船)、(5)洋上での出来事に関する情報(無事、漂着、外国船との遭遇)、(6)海外諸国に関する情報(大清静謐、暹羅内乱、柬埔寨内乱)、(7)その他、である。 また本年度は、大学院学生と、『華夷変態』(東洋文庫叢刊本)をテキストにして、「明清交替期における環東シナ海域圏と近世日本」のテーマで共同研究を行った。巻1、5(第2種)を講続し、明清交替期に東シナ海域を舞台に活動した海上勢力・鄭氏の活動を主として追究した。論点は多岐にわたるが、そのいくつかをあげると、(1)鄭氏の日本乞師と唐僧(金獅子、隠元、長崎三福寺)の活動、日本乞師に対し「武威」を傷つけられまいとする幕府の消極的対応、(2)鄭氏の資易形態(思明・杭州に置かれた各5つの問屋、日本・奥国〔東南アジア〕との交易、長崎唐人への「預銀」、(3)預銀の返還をめぐる鄭泰・鄭経両グループの対立、幕府の鄭泰側への預銀返還、等々が今後の課題として明確になってきた。
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Research Products
(1 results)