2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520422
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Research Institution | Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science |
Principal Investigator |
小村 眞理 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10261215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 直見 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10193806)
井上 美知子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 技師 (70223279)
木沢 直子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50270773)
佐藤 昌憲 京都工芸繊維大学, 名誉教授 (30027859)
佐々木 良子 京都工芸繊維大学, ベンチャーラボラトリー部, 研究員 (00423062)
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Keywords | 繭層セリシン / 硬質セリシン / 易溶性セリシン / 糸質評価法 / 精錬抵抗 / 船載絹糸 / 熨斗目 / 〓 |
Research Abstract |
平成15年より、文化財の復元に相応しい絹糸を製作し実験的な復元をするために、現在日本で管理されている蚕から作られる絹糸の具体的な特徴について調査してきた。今年度はこれまでに原材料の標本として製作した、原種とされる繭(中国種:紹興、緋紅、漢口赫繭、諸桂、山東三眠、朝陽、日本種:桜姫、又昔、青熟、鬼縮>の硬質セリシン量の測定、精練抵抗の大小について把握した(結果は文化財保存修復学会第29回大会で発表の予定「文化財の復元材料としての絹糸の調査・その7」)。このセリシンの量や性質を経験からだけでなく、適切な分析によって把握できるのであれば、事前に蚕品種を特定して必要な性質を有した絹糸を選択することが可能である。 分析方法は昨年11月蚕糸学会関東支部大会で「繭層セリシンの分析による繭糸質評価法-遺伝資源の新評価を目指して-」(発表者平尾絹精練工学研究所代表平尾〓蔵氏)として発表されたものである。実際の分析も平尾氏による。同試料について、藁灰による精練と日本茜による染色を行い、発色や質感に違いが見られるかを確認している。この工程に関しては中世の鎧の威糸の復元を目指し、古代日本茜染研究所代表宮崎明子氏の協力を得た。 また、江戸時代の熨斗目小袖の裂や天保年間の黄八丈について観察した。「熨斗目」は一般に生経練緯の組織で、従来文献資料の分析から舶載の絹糸を使用していることが指摘される。今回の調査で、それぞれ使用された糸の特徴を拡大して観察したところ、「熨斗目」には同時代の黄八丈にはあまり見られない抱合性のよい糸を引き揃えている状況が確認でき、製糸技術の異なることが観察結果からも裏付けられるのではないかと思われた。このことにっいてはさらに検証的な調査を要する。(結果は文化財保存修復学会第29回大会で発表の予定「文化財の復元材料としての絹糸の調査・その8-熨斗目の法量測定と質感評価の試み2-」)。 さらに中国戦国時代の出土組紐(江陵馬山一号楚墓他)の組織「〓」を実見し材料、技法発展の段階を確認した。
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Research Products
(5 results)