2006 Fiscal Year Annual Research Report
近代中国における都市と権力-マス・メディアの形成との関連から-
Project/Area Number |
15520429
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水羽 信男 広島大学, 大学院総合科学研究科, 助教授 (50229712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽田 三郎 広島大学, 大学院文学研究科, 教授 (40106779)
楠瀬 正明 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (40033518)
金子 肇 下関市立大学, 経済学部, 教授 (70194917)
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Keywords | 抗日戦争 / 都市知識人 / 立憲主義 / マス・メディア / 中国国民党 / 中国共産党 |
Research Abstract |
本年度は研究期間の最終年であつた。科研費にもとづく研究の実績の概要は、以下のとおりである。 まず史料の購入に関しては、これまで日本ではほとんど取り上げられることの無かった『時代批評』・『民族呼声』・『国民周刊』といった抗日戦争期の都市部で発行された雑誌を購入した。これらの雑誌は戦争という大きな政治変動のなかで、都市知識人がいかなる立場をとったのか、についてこれまで以上に詳細なイメージを提示してくれる。 また補綴をほどこされた『梁漱溟全集(第二版)』も揃えることができた。梁漱溟は伝統思想の影響を強く受けながらも、中国独自の民主化を求めており、本史料もこれまでの分析の不十分な点を補足するうえで重要なものである。 公刊した業績では、抗日戦争時期からその後の内戦期について、昆明・重慶といった都市における知識人の言論活動と政治権力との関係を検討した。そこでは中国国民党と、その成果を引き継いだ中国共産党によって、中国において樹立されることになる党国家体制に対して、"個の尊厳"を根底におくリベラルな価値を重視した知識人が、オルタナティヴな政治構想を提起していたことを確認できた。 また清末から中華人民共和国成立までの立憲主義の形成・展開の過程についても、その思想的な来源や具体的な制度化の実態などと関連させながら検討を加えている。思想を制度と関連させて考察するという立場は、本科研の一貫した方法的視座であった。 なお本科研の成果報告書では、これまでの調査・検討を踏まえて作成した個別の都市知識人に関する基礎データも、あわせて収録することとした。
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Research Products
(10 results)