2003 Fiscal Year Annual Research Report
数値史料の電算処理にもとづく明末・財政官僚の施策の合理性に関する基礎研究
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15520431
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
吉尾 寛 高知大学, 人文学部, 教授 (40158390)
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Keywords | 中国史 / 財政史 / 畢自厳 / 度支奏議 / 明朝 / 李自成の乱 / 数値 / 档案 |
Research Abstract |
1.史料調査(明末の戸部尚書畢自厳に関する史料調査) (1)国内(平成15年9月):東京・東洋文庫において畢自厳の専著『餉撫疏草』、『留計疏草』、『回話奏疏』、『撫津疏草』、『督餉疏草』、及び『皇明疏議輯略』所収の彼の奏疏を複写した。また、東京大学東洋文化研究所所蔵分とあわせて、明末の財政に関する古典的論文、朱慶永「明末遼餉問題(一)・(二)」(『政治経済学報』1935・36)を複写した。 (2)中国(平成16年3月):北京・中国国家図書館善本部において、日本の研究機関に所蔵されていない畢自厳の著作『遼変会議始末』二巻、『抽簪贅言』一巻、『戸部題名』一巻、『司徒恩遇日紀』二巻、『〓西畢氏世徳家伝』巻、『〓〓〓議』一巻、『〓泯文武禁約』一巻の概要を把握し、かつ彼の郷里社会との関わり方を表す『〓〓〓議』については複写した。 2.史料の分析(畢自厳撰『度支奏議』を中心にして) 以上の調査に先行する形で、『度支奏議』「堂稿」部所収の奏疏に記載される約3,500件の数値史料について電算的整理を行った(科研費で購入したドットプリンターを活用)。その結果、戸部尚書畢自厳が扱った兵餉銀の額数の推移をもとに、崇禎3(1630)年に畢自厳が断行した遼餉(「新餉」)増額(三厘追加派)に関する以下の契機を導き出した:崇禎元年から同2年半ばにかけて、兵餉の運営は「旧餉」を中心に収入・支出のバランスをとりつつあったが、同2年10月から起こった後金軍の大挙侵攻によって、崇禎3年1月上旬その運営はほぼ完全に破綻する。畢自厳はかかる事態を、周到な計算のもとに太倉銀庫・新餉庫・戸部廊庫等々における銀両の枯渇としてとらえた。遼餉三厘追加派は、この危機的段階で、対後金軍防衛の財政基盤を最も大きな規模で再構築する方策として、先ず以て畢自厳の口から出されたものであったと(本見解は論文として発表)。
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Research Products
(1 results)