2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520445
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北村 昌史 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (20242993)
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Keywords | ドイツ / 19世紀 / 住宅 / 市民 / 都市化 / 郊外 / 都市計画 / 比較史 |
Research Abstract |
本年度は、ドイツの第二帝政(1871〜1918年)における住宅改革運動の研究を進めるための準備作業として次のようなことをおこなった。第1に、設備備品費で、19世紀中葉から帝政末期まで存続した労働諸階級福祉中央協会の機関誌『労働者の友』のバックナンバー(1863〜1914年)を購入した。この史料は、住宅問題が、当時の社会問題全体の中で占める位置をおさえるために必須のものであり、今年度はその史料的性格について検討を加えた。第2に、2003年10月3〜5日にドイツのベルリンでおこなわれたシンポジウム「郊外の邸宅・19世紀および20世紀初頭の市民の住宅・生活様式・大都市比較の中のベルリン」に参加し、帝政期の住宅問題を考えるうえで重要と考える郊外住宅についてのドイツの最先端の研究に触れてきた。第3に、2回にわたってドイツ第2帝政期の社会経済的史料の豊富な京都大学のいくつかの図書館において史料収集を行い、関連史料の補充をおこなった。第4に、19世紀中葉の代表的住宅改革組織であるベルリン共同建築協会の総会の議事録を入手し、それらに体系的な検討を加えつつある。第五に、帝政期ベルリンの社会を規定した都市計画案「ホープレヒト案」(1862年)と、それが発令された前後の時期の住宅改革構想に検討を加えた。以上の研究は今後の研究を進めるための基礎作業であり、これらの成果をふまえて本格的に研究を進めるのは来年度以降の課題であろう。研究成果は来年度以降適宜公表されるはずである。また、近代ドイツの市民社会についての見通しを深めるため、職業と資格という関心から当該社会をとらえ直した望田幸男編『近代ドイツ=資格社会の展開』(2003年)を書評し、公表した。
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Research Products
(1 results)