2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15520462
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐久間 弘展 早稲田大学, 教育学部, 助教授 (00260919)
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Keywords | 職人組合 / 職斡旋権 / 職人宿 / シェンク手工業 / 帝国警察条令 / 職人裁判権 / 職人金庫 / 職人兄弟団 |
Research Abstract |
本年度は、14〜15世紀ドイツ職人組合成立期の職人運動とツンフト制度との絡み合い、および16世紀ツンフト市制崩壊期の職人運動を研究した。 結論の第一は、ツンフト制度成立と職人組合成立は関係しないということである。むしろ、ペスト流行後の人口減少と労働力価値の上昇とが職人の自意識を高め、若者職人集団の結成につながったと考えたほうがよい。こうして、14世紀後半からはじまり、15世紀に広範に職人組合が成立した。ただし、公権力は当初これを認めす、1450年代以降これを公認するようになっていった。それは、職人組合を認めたほうが親方の同職組合および手工業全体がうまく社会的・経済的に機能したからにほかならない。 第二に、職人が求めたものは中世後期に賃金引上げ、職斡旋権、裁判権、職人宿、職人金庫の維持であった。公権力がとくに職人組合に反対したのは、彼らの自治的裁判権にあったと考えるころができる。そして、とりわけ強力な職人組合は親方と共同で手工業案件を処理するシェンク手工業を成立させたのである。 第三に、16世紀になると親方と職人との対立図式から、帝国・都市と職人との対立図式へと変化する。それは、職人が自らの権利を確保するために、広域的なストライキやボイコットにでたためである。それゆえ、1530年から帝国警察条令で職人の取り締まりが強化されることになったが、各都市の足並みがそろわす、うまくゆかなかった。そのさい、この帝国警察条令に積極的にかかわったのは、アウクスブルクとストラスブールという南ドイツを代表する大都市であったことがわかった。
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Research Products
(2 results)