2003 Fiscal Year Annual Research Report
古代ギリシア人のコミュニティに対する意識に関する通時的視点からの研究
Project/Area Number |
15520463
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Research Institution | Kamakura Women's University |
Principal Investigator |
長谷川 岳男 鎌倉女子大学, 児童学部, 講師 (20308331)
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Keywords | 古代ギリシア / ポリス / ペロポネソス / 小アジア / アルカイック期 / ローマ帝国 / アイデンティティ / 神域 |
Research Abstract |
本年度は昨年まで交付されていた基盤研究(C)(2)「アルカディア地方の諸ポリスの実態に関する通時的視点からの研究」(課題番号12610403)での研究成果の一部をまず日本西洋史学会第53回大会小シンポジウム「ポリスのインヴェンション-初期ギリシア史の再構築にむけて-」(於愛知県立大学)において「アルカディアにおけるコミュニティの起源-その帰属意識をめぐって-」という演題で報告した。その後、アルカディア地方とともに隣接する地域、さらには他のギリシア本土地域、あるいは小アジアへと考察対象を拡大し、文献収集を進めた。我国で手に入らない文献は春に10日ほどロンドンの古典学研究所付属図書館で可能な限り目を通すようにした。また一方で9月にトルコのギリシア遺跡を調査し、これまで実地調査したペロポネソス半島にあるギリシア人コミュニティのあり方との比較を行った。 本年度は次年度以降の本格的な史料分析の準備を行うのが主たる活動であったが、それでもギリシア人がコミュニティを維持していくうえで、その宗教的側面がいかに重要であったのかを認識することができ、それはこれまで対象としてきたペロポネソス半島だけではなく、小アジアにおいても変わらないことが理解でき、また同時に小アジアのギリシア人のコミュニティにはペロポネソスのコミュニティにその起源を主張するところもあり(ペルガモン)、ギリシア人が有する世界観の再検討の必要性も課題として与えられることになった。
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Research Products
(1 results)