2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520464
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
剣持 久木 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (60288503)
|
Keywords | 青年右翼 / ティエリー・モーニエ / 火の十字団 / フランス社会党 / ジャック・ドリオ / フランス人民党 / 自由戦線 / フランス・ファシズム |
Research Abstract |
平成15年度は、これまでの研究で解明した青年右翼グループのリーダー、ティエリー・モーニエの1930年代後半の政治的位置を踏まえて、他の保守派グループの研究に着手した。とりわけ、退役軍人ラロック大佐率いる「火の十字団」ならびにその合法的後身「フランス社会党」の1936年から1937年にかけての動向を検証した。平成15年9月には資料調査で渡仏し、主にパリ警視庁の資料室で、ラロック大佐の政治運動関係の資料を集中的に調査した。その結果、1937年当時、ジャック・ドリオ率いるフランス人民党が、反人民戦線勢力の結成を呼びかけた「自由戦線」へのラロックの対応が明らかになった。調査した資料は、各政治団体の動向を警察当局が内偵した際の報告書であったが、その報告書の分析から、他の右翼政党同様、自由戦線に参加が期待されていたフランス社会党が結局、参加を留保し、最終的に拒否し、それに対応して人民党の側から激しい非難が浴びせられる様子が明らかになった。また、その分析の過程でラロックの政党には、既存の保守派政治家の多くが、参加の用意がある様も明らかになり、反人民戦線派、保守派のなかでの主導権争いの実態も明らかになった。 研究成果の公表としては、平成15年4月にフランス第4共和制研究についての詳細な書評を発表し、また前年度までの科研費成果の報告書を5月に発表し、7月には過去としての1930年代、第二次大戦期を戦後どう振り返ったかの比較シンポジウム(現代史研究会主催)に参加して、フランスについての報告をおこなった。また、平成16年3月には、日韓歴史共同研究委員会日本側研究会へのゲストスピーカーとして、フランス現代史研究の最新の動向についての報告をおこなった。
|
Research Products
(1 results)