2005 Fiscal Year Annual Research Report
フランス・ファシズムの研究-1930年代フランス保守派政治地図の再構成-
Project/Area Number |
15520464
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
剣持 久木 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (60288503)
|
Keywords | フランス・ファシズム / ラロック / 火の十字団 / フランス社会党 / ジャック・ドリオ / フランス人民党 / 自由戦線 / ティエリー・モーニエ |
Research Abstract |
平成17年度は前年度の研究を継続しつつ、1930年代後半のフランス保守派政治地図において重要な位置を占めていた、退役軍人ラロック中佐率いる「火の十字団」ならびにその合法的後身「フランス社会党」の研究を集中的におこなった。とくに元共産党幹部ジャック・ドリオが創設したフランス人民党が1937年に提唱した反人民戦線保守派大同団結の「自由戦線」へのラロックの対応を、パリ国立公文書館所蔵資料で詳細に調査した。その結果、ラロック側の一貫した中道志向、極右はもちろん、保守派全体からも距離をとろうとする姿勢が明確になった。国立公文書館所蔵のラロック個人文書については、これまで何度申請しても返事がなかったのが、このたびの申請に際しては、正式許可だけでなく、文書管理人でもある遺族のユーグ・ラロック氏から直接の便宜を得ることができた。かくして8月から9月にかけてはパリに長期滞在し、国立公文書館所蔵のラロック個人文書はもちろん、パリ政治学院所蔵ラロック文書の調査も存分におこなうことができた。ラロック中佐の孫であるユーグ氏との直接の面会も実現し、1930年代のラロック中佐の行動の全体像はもとより、フランス現代史全般とりわけフランスファシズム研究に重要な示唆をえることができた。 研究成果の公表としては、前年度中の公刊が間に合わなかったティエリー・モーニエ研究の続編、「ファシズム・モナルシスム・青年右翼」(『名城大学総合研究所・総合学術研究論文集』4号)を6月に発表した。平成17年度の研究成果のまとめとしては、2006年2月には現代史研究会(於:専修大学)で「記憶としてのフランス・ファシズム〜ラロック中佐の評価をめぐって〜」と題した口頭発表をおこなった。この報告内容については、書き下ろし単著の形で、平成18年中に出版することで出版社と合意に達している。なお、研究成果公表に際して、ラロック個人文書はもとよりラロック家秘蔵の写真資料なども使用することへの全面協力の約束をラロック家遺族から得ている。
|
Research Products
(1 results)