2003 Fiscal Year Annual Research Report
食とアイデンティティー-近代ヨーロッパにおける統合原理としての食文化-
Project/Area Number |
15520467
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
南 直人 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (20181951)
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Keywords | 食文化 / 食生活 / 食生活史 / 近代ヨーロッパ / 国民統合 / 近代国家 / 異文化理解 / 大英帝国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国民国家単位での統合が進行しつつあった19世紀のヨーロッパで、食文化が統合のベクトルとドイツのように関係していたのか、国民・地域社会・階層などそれぞれのレベルのアイデンティティーが食に関する言説を通じてどのように展開されていったのか、を解明することである。そのため、まずヨーロッパにおけるこうした研究があるかどうか、研究史を探ってみた。それに合致した研究書として、「ヨーロッパ食生活史研究のための国際委員会」という、国際的な研究者グループが編集した『食物・飲料とアイデンティティー-中世以降のヨーロッパにおける調理と飲食』(P.Scholliers, ed.,Food, Drink and Identity, Berg,2001)という業績がある。そこで、まずこの研究書の内容を検討するとともに、このグループに属する各国の研究者たちの研究活動に注目することとした。そのため、2003年9月末から10月初頭に開催された、同グループの国際シンポジウムに参加した。このシンポジウムは、食に関する知識の伝播と拡散、すなわち広義での食文化教育をテーマとするものであったが、こうした諸研究は、ヨーロッパ各国における食を軸にした国民国家のアイデンティティー形成という問題と深く関わり合うため、本研究にとって大きな示唆をえるものとなった。この海外での資料収集の成果は、大阪国際大学国際関係研究所の『国際研究論叢』第17巻2号に報告として収録されている。このほかに、イギリスに限定した研究として、『帝国の果実-異国の産物とイギリス的味覚』(J.Walvin, Fruits of Empire, London,1997)という研究書がある。この本は、イギリス帝国とイギリス人の食文化のアイデンティティーとの密接なかかわりを歴史的にあとづけた研究であり、やはり『国際研究論叢』においてこの本を翻訳紹介してみた。こうした研究を次年度も継続していく。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 南 直人: "(翻訳)帝国の果実-異国の産物とイギリス的味覚(2)"国際研究論叢. 17-1. 195-209 (2003)
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[Publications] 南 直人: "(翻訳)帝国の果実-異国の産物とイギリス的味覚(3)"国際研究論叢. 17-2. 143-158 (2003)
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[Publications] 南 直人: "(報告)ヨーロッパ食生活史研究のための国際委員会第8回シンポジウム"国際研究論叢. 17-3. (2004)
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[Publications] 南 直人: "世界の食文化(19)-ドイツ"農山漁村出版協会. 252 (2003)