2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520478
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
定森 秀夫 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (90142637)
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Keywords | 陶質土器 / 渡来人 / 加耶 / 新羅 / 百済 / 馬韓 / 韓式系土器 |
Research Abstract |
1.国内調査 (1)和歌山調査 紀伊風土記の丘資料館で、伝花山出土の4世紀代の縄蓆文壺や5世紀代の固城タイプ蓋を確認した。前者は4世紀代の交渉を、後者は小加耶との交渉を考慮しうる資料である。 (2)高知調査 居徳遺跡から小型平底壺が出土していることを確認した。この遺跡は祭祀遺跡で、小型平底壺も主に加耶地域において祭祀に使用されるものであることを考えると、高知県の居徳遺跡に加耶の祭祀を知る渡来人がいたことを示唆するものと考えられる。このことから渡来ルートとして、瀬戸内ルートとは別に太平洋ルートを考えていかなければならないだろう。 (3)島根・鳥取・壱岐・福岡調査 主に集落跡における4世紀代の陶質土器を調査した。4世紀代は縄蓆文壺がほとんどで、高杯などの小型品は極めて少ない。この現象は、5世紀代の小型品を中心とする陶質土器の器種構成と異なっている。この問題に関しては、今後総合的に検討してみたい。 (4)舞鶴調査 器台片で、須恵器にはない形態であるが、かといって朝鮮半島にも類例を今のところ見出せない。日本列島で製作している可能性もあるが、観察したところでは、百済系陶質土器の可能性が高いように思われた。 2.韓国調査 今年度は主に百済地域の土器を中心に調査を進めた。最近の韓国での調査研究の進展もあって、従来百済系陶質土器と一括していた土器群が、さらに細分可能になりつつあるという情報を韓国の研究者より得た。特に、百済の領域に入っていなかった馬韓地域(全羅南道地方)には、百済とは異なった土器が展開していて、その識別が可能であることが韓国の研究者との情報交換で確認できた。したがって、日本列島出土の百済系陶質土器の中には馬韓系の陶質土器が含まれている可能性が高く、今後その分離は可能と思われる。
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Research Products
(2 results)