2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520483
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 二郎 早稲田大学, 文学部, 助教授 (70186849)
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Keywords | エジプト / ネクロポリス・テーベ / 岩窟墓 / 高度別分布 / 高官墓 / 新王国時代 / 第18王朝 / 宰相 |
Research Abstract |
エジプト新王国時代の岩窟墓の編年研究に関して、宰相やアメン大司祭、王の側近者たちなどの有力者たちの岩窟墓の位置(平面および高度)を詳細に検討し、時代と共に特定の地域に集中して岩窟墓が造営されている事実を確認する作業を実施した。エジプト、ルクソール西岸の「ネクロポリス・テーベ地区」での現地調査をおこなうことにより、その傾向の把握につとめた。その中で、特にシェイク・アブド・アル=クルナ地区に第18王朝のアメンヘテプ2世時代に有力者の墓が集中的に造営されている事実が明らかとなった。王の葬祭殿やナイル川東岸の有力施設であるカルナク、アメン神殿やルクソール神殿などとの位置とは別に、ネクロポリス・テーベにおいて、高官墓が集中することは、この地区の重要性や王家との特別な関係を想起させている。1000分の1の地形図を利用することで高度による差も明確にした。これまでの墓群研究では、墓の平面プランや墓内壁画や碑文ばかりが特別視されていたが、岩窟墓の分布における垂直分布(高度別分布)に初めて着目することで、ネクロポリス研究の新たな分析を実施することができた。従来、再利用墓をはじめとして、いつの時代に過去の岩窟墓が再占拠されてきたかを中心として分析を行なってきたが、今回は宰相の墓の位置やアメン大司祭の墓の位度などを通じて、有力者の岩窟墓が、どの地区からどの地区へと移動していったかを知ることで、時期によりどの地区が重要であったかの見通しもたてやすいものとなった。
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Research Products
(1 results)