2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520483
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 二郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70186849)
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Keywords | エジプト / ネクロポリス・テーベ / 岩窟墓 / 高度別分布 / 高官墓 / 新王国時代 / 第18王朝 / 宰相 |
Research Abstract |
新王国時代の岩窟墓研究は、これまで第18王朝の王家の出身地であった上エジプト第4ノモスであるテーベの西岸である所謂「ネクロポリス・テーベ」を中心として実施されてきた。しかしながら、従来の研究の問題点のひとつに、岩窟墓の編年研究が不十分であったことを指摘することができる。ネクロポリス・テーベには、400基を越える岩窟墓が存在しているが、編年の決め手として岩窟墓の壁面に記された王名などが利用されてきた。王名を基準として墓の編年を決めることは、再利用墓などのケースを含め極めて危険であり誤った結論を導き易い。まず再利用墓の実態を検討したところ、新王国第18王朝時代後期のトトメス4世からその後継者であるアメンヘテプ3世の治世下に造営された岩窟墓の幾つかのものが、第19王朝のラメセス2世治世下に再利用されていることが明らかとなった。このことから、岩窟墓のプランや内部装飾などが第18王朝時代後期から第19王朝時代まで変化せずに使用され続けるとされていた従来の説は誤りであるとの結論を得た。次に、再利用だけではなく、第18王朝時代の王ごとの高官墓の分布を詳細に検討した。その結果、各時代の高官墓の水平分布と垂直分布を図示することで、各時期の特徴を明らかにすることができた。また、近年、発掘調査が急速に増加している北のメンフィス地域の新王国時代の墓域を踏査することで、南のテーベ地域の墓域との相違を明らかにすることを目指した。その踏査の過程で、新王国第18王朝後期のアメンヘテプ3世時代に、南のテーベで岩窟墓の造営に従事していた絵師が、メンフィスの墓の造営に関与した例が判明した。これまで同じアメンヘテプ3世時代にテーベの岩窟墓にメンフィスの墓の形式が取り入れられたことが知られていたが、墓の造営に南北2つの中心であるメンフィスやテーベの職人の相互交流があったという新事実を提示することができた。
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Research Products
(4 results)