2005 Fiscal Year Annual Research Report
溜池卓越地域における大規模水利事業の展開と末端水利組織の対応
Project/Area Number |
15520498
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
南埜 猛 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 助教授 (20273815)
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Keywords | 溜池 / ダム / ため池ミュージアム / 兵庫県 / インド / 水利 |
Research Abstract |
平成17年度においては,兵庫県東播磨地域の補足調査ならびに研究成果の発表を中心に行った。 兵庫県東播磨地域では、兵庫県が中心となって「いなみ野ため池ミュージアム」事業が実施されている。その一環で、個々のため池ごとに、ため池協議会の設立が進んでいる。これは、全く新しい形の末端水利組織であり、本年度の現地調査では、このため池協議会ならびにその連合協議会について、集中的に調査・検討をおこなった。 本研究の成果は、地理科学学会学術大会(5月)で「南インド・タミルナードゥ州の溜池灌漑」、兵庫地理学協会の特別例会(ため池をめぐるシンポ)(11月)で「ため池の役割」、日本地理学会春季学術大会(3月)で「日本におけるため池の存在形態と現状」と題して、それぞれ口頭発表した。また兵庫地理学協会ならびに日本地理学会での発表の内容をまとめ、南埜(2006)を発表した。 本研究で得られた知見をもとに、兵庫大学で開講されている「いなみ野ため池学」(兵庫県共催)や前述の「いなみのため池ミュージアム」の関連事業「歩いて確かめよう「いなみ野ため池文化」」で講演するとともに、同講座の受講生でため池関係者を対象に聞き取り調査を行った。また兵庫県稲美町のため池群が文化庁より文化的景観の重要地区に採択されたことを受け、「文化的景観「稲美のため池群」保存活用計画検討委員会」(稲美町)が設置された。その委員として本研究の成果をその議論に反映させた。その内容の一部は、12月に開催されたシンポジューム「風景を未来へ」で紹介され,また同町のため池保存計画案に盛り込まれた。さらに国土交通省の「近畿圏における自然環境の総点検ワーキンググループ」に参加し,ため池をはじめとする水辺空間を活かした今後の地域づくりのあり方について提言した。
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