2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市内小売業の空間構造と商業活性化事業の評価に関する日英比較研究
Project/Area Number |
15520499
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
根田 克彦 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (50192258)
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Keywords | イギリス / ノッティンガムシャー / ノッティンガム / 小売立地計画 / 中心市街地活性化 / 日本 |
Research Abstract |
本年は,イギリスのイングランドにおける小売立地計画と,ノッティンガム市とその上位自治体であるノッティンガムシャー・カウンティの小売立地計画を考察した.それと日本の小売立地計画とを比較した結果,以下のことが判明した. 日本の小売立地計画とイギリスのそれとを比較すると,違いは明瞭である.イギリスでは,日本の市町村に相当するディストリクトレベルで作成する開発計画が,小売立地計画を基本的に規制する.この小売立地計画では,中心市街地に相当するシティセンターもしくはタウンセンターを頂点とする階層構造を想定し,それを維持・向上するために,開発の規制・誘導が行われるのである.すなわち,イギリスのディストリクトが求めることは,個々のセンターの活性化ではなく,全体としてのシステムの維持である.このシステムの理論として採用されたのが,中心地理論であり,センターのシステムは,中心地理論に基づく階層構造として把握され,それが維持されるような小売開発が望まれるのである.この点で,中心市街地のみを活性化しようとする日本の小売立地政策とは異なるのである. また,ディストリクトが作成する開発計画であるローカルプランは,国,地域,カウンティ(ユニタリー自治体の場合には存在しない)の階層的な開発の指針の束縛を受ける.それにより,地域レベルで整合性の取れるセンターのシステムが整備できるのである.日本では,互いに近接する市町村が中心市街地活性化事業を行うことはよくあるが,近接する市町村が互いの中心市街地の機能と役割を互いに連携の取れたシステムとして把握し,そのシステムを維持するように中心市街地を活性化するとの考えはない.
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Research Products
(1 results)