2003 Fiscal Year Annual Research Report
輸入野菜急増下における青果物流動の地理的パターンおよびその変動
Project/Area Number |
15520500
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
荒木 一視 山口大学, 教育学部, 助教授 (80254663)
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Keywords | 青果物 / 輸入野菜 / フードシステム / 卸売市場 |
Research Abstract |
1990年代以降の外国産青果物の輸入が増加する中で,わが国の青果物流動体系がどのような空間的再編成を遂げつつあるのかを解明するために調査や資料収集を行った。 1 県庁都市や人口10万人程度の地方の小都市を対象とした検討からは以下の諸点が明らかになった。まず,岡山市などの有力な青果物産地を県内に持つ都市においても,輸入品を含め,東日本などの全国産地からの青果物の入荷が広く認められること。また,山口県内では小都市のレベルでも,卸売市場の淘汰の傾向などがうかがえた。これらは,いずれも広域的な青果物流動の結果もたらされたものと考えられる。その一方,東京や大阪などの大都市において,極めて地域的な青果物の流通体系が機能していることが観察された。地元産の生鮮野菜が付加価値を高める形で販売されているケースである。1つの動きとして注目したい。 2 海外からの青果物輸入の動向に関する検討については,特に中国の動向に焦点を当てた。その結果,中国の対日青果物輸出と,中国国内の青果物流動体系との間に興味深い対比が認められた。例えば,対日輸出の代表的品目であったネギは,中国国内では長距離輸送があまり行われていないことなどである。これらのことから中国の対日青果物輸出の背景には両国の経済環境の違い,特に経済的な格差が強く影響していることがうかがえた。また,この他にもニュージーランドからのキウイフルーツの輸入動向や日本への出荷戦略についての知見も得た。 3 統計資料の収集と分析に関しては,「青果物卸売市場調査」をはじめとする各種統計を入手し,大規模市場と中小規模の市場,大都市の市場と地方都市の市場の対比に焦点をあてて検討を行った。
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