2004 Fiscal Year Annual Research Report
輸入野菜急増下における青果物流動の地理的パターンおよびその変動
Project/Area Number |
15520500
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
荒木 一視 山口大学, 教育学部, 助教授 (80254663)
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Keywords | 青果物 / 輪入野菜 / フードシステム / 卸売 |
Research Abstract |
1990年代以降の外国産青果物の輸入が増加する中で,わが国の青果物流動体系がどのような空間的再編成を遂げつつあるのかを解明するために調査や資料収集を行った。 1 県庁都市や人口地方の小都市を対象とした検討からは以下の諸点が明らかになった。山口県下の主要都市や広島市,福岡市,北九州市などの卸売市場の分析から,大都市と中小都市,地方都市の間にはなお価格差が存在すること,これらの価格差の背景には主要産地と消費地問の距離が影響していることなどであり,都市間格差の背景には主要産地が特定地域に集中することが想定された。これらについては学会誌などに成果を発表した。 2 海外からの青果物輸入の動向に関する検討については,東アジア,特に韓国の動向に焦点を当てで検討を行った。東アジアについてはわが国の野菜輸入地域の変化の他に,日中韓の3カ国間での経済格差と野菜貿易との関係について検討した。韓国プサンを中心とする青果物流通がわが国と比較してローカルなスケールで機能していることなどを検討した。なお,これらについては2004年夏に英国スコットランドで開催された国際地理学会議及びそのプレコングレスで発表した。これらについては,学会誌等において掲載,また,一部は掲載予定である。 3 統計資料の収集と分析に関しては,「野菜生産出荷統計」をはじめとする各種統計を入手し,大規模市場と中小規模の市場,大都市の市場と地方都市の市場の対比に焦点をあてて検討を行った。 4 以上の諸点をふまえて,わが国の青果物流通全般の変化についての検討を行い,カナダのトラフトンが示した「polarization(極化)」の概念の援用の可能性についても言及した。なお,これについては2004年秋の人文地理学会で発表した。
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Research Products
(5 results)