2004 Fiscal Year Annual Research Report
地域イノベーション・システムにおける外資系企業の役割に関する研究
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15520509
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
SCHLUNZE R.D. 追手門学院大学, 経営学部, 助教授 (70319599)
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Keywords | 外資系企業 / 海外直接投資 / 研究開発 / イノベーション / 誘致政策 / 企業戦略 / 地域産業政策 / 立地決定 |
Research Abstract |
統計分析の結果、外資系R&Dは研究開発機関が多い地域に立地する傾向が強いことが分かった。外資系R&Dに対してオープンな地域イノベーションシステムとして、関東および関西地域の2つが見つかった。重要なのは関連する現地産業やビジネスとの、分野および空間的近接性である。東京-関東の地域イノベーションシステムは国際的知識交流と創造プロセスの中心的地位にある。他の地方が誘致に成功できるかは、効果的な助成ができるかによる。国際ビジネス領域は外国企業との交流を育んできた歴史を持つ場所に体現されている。 事例研究からは、関西に拠点を置く外資系企業でも上流機能から下流機能までを共存させることで、完全に統合することも可能であることが分かった。このことは、外資系企業に適した経営スタイルを維持しつつ、日本のビジネス環境にうまく埋め込むことができれば、必ずしも本社を東京-関東地域に立地する必要はない、ということを示している。 都道府県の投資促進部門を対象にもアンケート調査を行い、47都道府県すべてから回答があった。その結果、対内投資誘致のために十分努力をしているといえるのは半分以下であることがわかった。 グローバルなビジネスおよび科学が優勢な時代において、地域イノベーションシステムを形成するために外資系R&D投資は重要な役割を持つ。しかし、企業も自治体もこのことを十分認識していない。おそらくそのため外資系企業はR&D活動を特定の学習地域よりむしろ全国レベルのイノベーションシステムに埋め込んでいる。 外資系R&Dを地域イノベーションシステムにひきつけ、埋め込むため、知識や情報交流をスタートアップの段階だけでなく継続的に促進していくべきである。兵庫-神戸は都市マーケティング戦略を立て、グローバル・ビジネスを現地経済にひきつけ、埋め込んでいる。この戦略は他の都道府県でも対内投資促進のモデルとして有効であろう。
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