2004 Fiscal Year Annual Research Report
在日朝鮮半島系住民の地方地域社会との相互関係、ネットワークと流動性に関する研究
Project/Area Number |
15520517
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡田 浩樹 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (90299058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 文子 島根大学, 教育学部, 助教授 (40252887)
政岡 伸洋 東北学院大学, 文学部, 助教授 (60352085)
島村 恭則 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (10311135)
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Keywords | 在日朝鮮半島系住民 / 生活史 / 地方地域社会 / 在日外国人施策 / 移動 / ネットワーク / ニューカマー / 多文化共生 |
Research Abstract |
平成156年度は、各研究分担者がそれぞれの担当地域において、本調査を実施し、研究成果に向けた資料収集・検討をおこなった。 1.研究組織全体としては、3月17日〜20日に渡り、根半島、鳥取県境港市、鳥取市を全体の重点調査対象とし、民族団体、行政へのヒアリングなどを実施した。また、今年度の研究成果報告会および来年度の具体的研究発表に向けたうちあわせ研究会を3月27-28日に神戸大学で開催した。 2.各研究分担者はそれぞれの担当地域で現地調査、資料収集をおこない、岡田は神戸市および兵庫県の在日コリアン、特にマダンを中心に調査をおこない、また山口県下関市などでひきつづき資料収集をおこなうと同時に、富山、岐阜における在日コリアン居住者についての個別インタビューを実施した。この成果の一部を庫県・神戸市が母体のシンクタンク研究会「汎太平洋フォーラム」で口頭発表した。島村は福岡での調査を引き続きおこない、また政岡は仙台と大阪府泉佐野市、鈴木は島根県、鳥取県での調査をおこなった。 3.また研究補助者を雇用し、地方在住在日コリアン関連の文献リスト作成をおこなった。この作業は来年度も引き続き行う予定である。加えて、全国紙の地方版、地方紙などに見いだされる在日コリアン関係の資料を収集し、データベース化する作業を来年度予定している。データベース化、および作業の検討をおこなった。 今年度の調査研究は、本調査を主たる目的としたため、そこで得られたデータの分析は来年度にかけての作業になる。このため、現段階では以下の諸点を中間的な課題として指摘できよう。 (1)地方自治体と在日コリアン。地方都市在住の在日コリアンは、大阪や東京など在日コリアン集住地と比較し、行政の対象外として放置されている場合が多い。特に問題となるのが、高齢者の在日コリアンの場合であり、年金、健康保険の適用がないため、生活保護など他の政策で対応しているのが現状である。行政の実施責任者もこうした問題についての情報が不足しており、多文化共生、国際化を政策課題として掲げることとのギャップがみいだされた。 (2)昨年度の予備調査で見いだされた地方在日コリアンのネットワーク、流動性はデータの上でも裏付けられた。特に注目されるのは都市(集住地)に居住する親族や家族との強い連帯意識と相互関係であった。 (3)近年のニューカマー、他の外国人居住者の増加は在日コリアンのアイデンティティポリテックスにも大きな変化をもたらしつつあることが見いだされた。在日外国人=在日コリアンではなく、在日外国人の一部になったため、これまでようにエスニックアイデンティティを主張するだけでなく、共生や共住も視野にいれざるを得ない状況が起きている。
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