2004 Fiscal Year Annual Research Report
華僑社会における伝統文化とくに祭祀・芸能の変容と再編に関する比較研究
Project/Area Number |
15520521
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
王 維 香川大学, 経済学部, 助教授 (10322546)
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Keywords | 華人、チャイニーズ / サンフランシスコチャイナタウン / 伝統文化 / エスニシティ / 新移民 / 春節行事 / 伝統的なコミュニティ / グローバル化 |
Research Abstract |
日本華僑の伝統文化とその変動を考えるとき、中国歴史、東アジアにおける相互交流史の関連の中で検討することが重要であることを認識し、申請者はこれまでの研究を踏まえた上で、グローバリゼーションの流れの中における長崎独特の地域の特質と華僑エスニシティの変容の関係について再検討した。 また現在、世界各地の中国系の社会がダイナミックな動きを見せている時代であって、華僑社会における伝統文化特に祭祀・芸能の変容と再編の動きは日本だけではなく、北米、東南アジアなどの華僑社会も例外ではなく、その活発な活動が顕著になってきたと考えられる。このような研究の視点から、申請者は新たにアメリカ西海岸のサンフランシスコにあるチャイナタウンにおいて春節の行事を中心に研究調査を行った。サンフランシスコのチャイナタウンはニューヨークに次いで北米では2番目に大きいチャイニーズコミュニティであって、サンフランシスコにおける重要な観光名所でもある。チャイナタウンが華人だけの集住形態をもち、伝統的なローカル・コミュニティが維持されている。もっとも重要な年間行事は旧暦正月を祝う春節であって、1970年代を境にこのイベントが拡大され再編された。その背景にコミュニティを取り巻く国際情勢の変化、中国国内の政治政策及び国際的な役割の増大と影響、コミュニティ内部の変化と変遷などが見られる。つまり、多民族の国であるアメリカでは、チャイニーズはもっとも大きなエスニックグループとして、社会的、経済的、政治的な役割を果たしており、その民族文化が吸収される一方、華人のエスニシティはグローバルを契機に積極的に蘇っている。 さらに、チャイナタウンという伝統的なコミュニティ形態とは対照的に、サンフランシスコの近郊にある中国系新移民コミュニティとくに中国の東北の出身者について調査を行った。かれらはこれまでの移民と異なる移住背景とルートを持ち、同じ地域に集中しながらも、伝統的なチャイナタウンのような町を形成せず分散して居住している。かれらは日常と非日常生活において殆ど中国本土と変わらないが、彼らの移住により、移住先では地域における人口構成、言語、経済活動、諸慣行などの変化が余儀なくされた。
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Research Products
(2 results)