2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15520523
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中生 勝美 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (00222159)
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Keywords | GHQ / 民間情報局(CIE) / 応用人類学 / 土地改革 / 須恵村 / 椎葉村 / 柳田国男 / 石田英一郎 |
Research Abstract |
戦後のGHQの極東政策について、GHQの下部組織であるCivil Information and Education Section(略してCIE)に、アメリカ側のスタッフとして人類学者が派遣されており、その協力者として日木人も人類学・社会学・民俗学の研究者が臨時職員として採用され、日本国内での社会調査を実施していた。そのときの報告書は、現在アメリカ国立企文書に保管してあるので、平成15年8月にワシントンDCへ出かけ、その時の報告書を閲覧した。ニューヨークの公文書館、ハーバード大学、アメリカ国会図書館での資料収集をおこなった。その上で、CIEに勤務した経験があるミシガン州立大学名誉教授であるイシノ・イワオ氏と連絡を取り、その資料に基づいたインタビュー、およびイシノ氏個人が所蔵している当時の文書、戦後出版された資料などを収集できた。またアメリカの応用人類学が、いかに日系人調査から、戦略分析、さらに戦後の日本統治にかかわっていたかが具体的に明らかになった。 また、1947年から48年にかけて、CIEは土地改革の影響が、いかに農村に及ぼされているかを調査したのだが、そのときの報告書と、アメリカで収集した資料を基に、当時調査をした熊本県球磨郡の須恵村、および宮崎県東臼杵郡椎葉村を再調査した。これらの村は、戦前に著名な人類学的調査がなされた地域であり、CIEのアドバイザーであった柳田国男や石田英一郎の助言から、こうした民族誌が作成された地域を、土地改革の影響を調べるサンプル村として選定されたのであろうと予測されるが、土地改革の状況、CIEの調査について、現在分かる人はほとんどいなかったが、CIEによって撮影された1947年の写真を照合すると、GHQ時代の日本の農村の状況がかなり復元でき、かつ人物写真や撮影場所なども特定できた。
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