2003 Fiscal Year Annual Research Report
民俗芸能の上演を通じた地域文化の創出とその再編過程に関する現代民俗学的研究
Project/Area Number |
15520529
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
八木 康幸 関西学院大学, 文学部, 教授 (80122224)
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Keywords | 民族芸能 / 祭礼行事 / 地域伝統芸能全国フェスティバル / フォークロリズム / フェイクロア / 北上みちのく芸能まつり / 地方博覧会 / パブリック・セクター |
Research Abstract |
本年度の研究では、(1)北上みちのく芸能まつり、(2)地域伝統芸能全国フェスティバル広島、(3)霜月祭り、(4)『遠野物語』観光、のそれぞれに対する実地踏査と、関係する民俗芸能・民俗文化についての現況調査を実施し、さらにフェイクロアとフォークロリズムに関係する文献の収集整理、およびその分析をあわせて行った。岩手県北上市で実施された北上みちのく芸能祭りに関しては、平成15年8月のイベント当日におけるビデオ撮影を含む参与観察調査、および関連資料の収集などを通じて、40年以上の歴史を持つ都市型民俗芸能イベントの実態把握につとめた。地域伝統芸能全国フェスティバル広島では、10月12日に開催された演目を中心に参与観察を行い、とくに愛媛県宇和島市の八ツ鹿踊り関係者への聴き取り調査を実施した。二つの事例調査を通じて、民俗芸能の「地域文化」化の様相およびその舞台化(上演)の実態に関するデータの集積を実現することができた。12月には、長野県上村下栗の霜月祭りの調査を実施した。前年度NHKのBS放送の対象となったことにより、外部からの見学者を増加させた同地の祭が、一年後にいかなる変化をとげたかという点を中心に参与観察を行った。平成16年3月に実施した『遠野物語』観光の調査では、鹿踊りやオシラ様、民話などの民俗文化を客体化してこれを流用する地元の営みの現況を、既往の研究成果を参考にしつつ確認することができた。他方では、本研究の分析枠組みの基礎をなすフェイクロアとフォークロリズムの概念について、おもに北米を中心とする研究史を展望し、両概念がパブリック・セクター・フォークロアの発展を理解する上で、重要な意義をもつことを明らかにした。その成果は「フェイクロアとフォークロリズムについての覚え書き-アメリカ民俗学における議論を中心にして-」という題目で『日本民俗学』第236号(2003年11月。20〜48頁)に発表した。
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Research Products
(1 results)