2003 Fiscal Year Annual Research Report
西日本海域社会における漁民の移動と定住に関する研究
Project/Area Number |
15520530
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College |
Principal Investigator |
高桑 史子 東京都立短期大学, 文化国際学科, 教授 (90289984)
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Keywords | 漁民 / 漁民の移動 / 漁民の定住 / カツオ漁民 / 定置網出稼ぎ / 宇和島 / 甑島 / 西海町 |
Research Abstract |
本年は当該研究実施の最初の年であり、また追加採択の内定が10月にあったため、年度の後半の約5ヶ月間にわたり、文献研究と資料収集を中心に研究を実施し、3月に約10日程度の予備調査を行った。経過と成果の概略は以下の通りである。 1・明治期以降の西〜南西日本海域の漁民や漁村の実態に関する文献研究と資料収集を行った。その際、特に次の2点に注目した。 (1)昭和30年代まで、甑島(鹿児島県薩摩郡)の漁民が主に冬季に宮崎県油津付近、土佐を中心に定置網出稼ぎを行っていたが、これらの地域の漁業の実態と現在の状況。 (2)明治以降に南西〜南日本のカツオ漁民が日本列島を南下し、さらに琉球列島から台湾近海まで出漁したが、これらは漁民の移動のみならず、カツオ節削り女工として多くの女性の移動という結果も伴った。 以上の事実から、漁民の移動と、これらの漁村が立地する地域杜会の現状に関する研究を文献により行った。 2・3月13日〜3月16日、3月19日〜3月26日の2度にわたり、高知県高知市ならびにその周辺、愛媛県宇和島市、西海町にて、資料収集と予備調査を行った。高知市では、高知県立歴史民俗資料館と県立図書館にて当該地域に関する基礎知識を取得し、文献や資料を収集した。宇和島市と西海町ではいくつかの漁村を訪問し、次年度の本格的な実態調査に向けての基礎的情報を得た。宇和島市周辺と西海町では、現在では漁村のほとんどが漁業出漁よりも主にハマチとマダイ、ならびに真珠の養殖に力を入れているが、海洋汚染と競争の激化で魚価が値下がりを見せている。また、西海町ではその村落立地の特質-傾斜地に石垣をめぐらして家を建てる-を観光に生かしている。 この結果をふまえて今後は調査項目を絞りインテンシヴな調査を行う。
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