2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15530002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
嶋津 格 千葉大学, 大学院・専門法務研究科, 教授 (60170932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 俊夫 千葉大学, 教育学部, 教授 (50110276)
戸田 義治 千葉大学, 教育学部, 教授 (50207586)
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Keywords | 裁判員制度 / 法学教育 / 正義感覚 / 正しさを語る教育 / 法学的マインド / 国を裁く |
Research Abstract |
法的なるものが日本人と日本社会の中でどのような位置を占めうるか、という法学基礎論的関心と、公民教育の一環としての国民の法学マインド育成という実践的関心を結合して、小学生らに、法の知識を与えるのではなく体験をさせよう、というのが当初からの目的であった。以前の研究では、小中学生に刑事事件、民事事件の裁判体験をしてもらったが、この研究は(1)行政訴訟事件をあつかった(2)高校生にも対象を広げた、点でこれまでの範囲を広げた。 具体的には、「かいわれ裁判」と呼ぶことにした、学校給食での細菌感染事件での政府の対応をめぐり、調査結果の情報公開の必要性と関連業者の風評被害防止という両立困難な場面で、政府が実際とった行動について、その責任の有無を判断させる、というものであった。訴訟を担当した弁護士へのインタビュービデオなどを見せながら、単なる模擬裁判ではなく現実の事件であることを生徒達に意識させる、という方法は、一定の効果をあげた。行政訴訟には、「国を裁く」という側面がある。子供達にその立場に立たせて、「責任ある判断」をさせることの意義は、大きかったと考える。結果として、反復使用可能な教材が一つできあがった。 高校生(千葉南高校)は、事前には「うちの生徒はおとなしいので、授業がもりあがらないかもしれませんよ」と担当者と校長からいわれていたのに、実際にはきわめて活発に議論が行われ、高校の教員達も驚くという結果になった。また、小学校のクラスでは、公開授業で「かいわれ裁判」を取り上げる準備として、以前開発した教材である「犬の鳴き声裁判」と「ホッケーパパ場外乱闘事件」を使っての授業も行った。その結果、一回目はまだ見られた、自分の意見に固執して相手を威圧するなどの行動が、二回目以降は目立って減少し、子供達の学習能力の高さに驚かされた。集めた感想・授業風景のビデオその他の試料は、今後の研究資料にもなる。
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Research Products
(2 results)